食品の会社として知られる味の素で、なぜ電子材料が利益を伸ばしているのでしょうか。食品の稼ぐ力と新しい成長分野、改善が必要な事業を知ると、知名度だけでは分からない強みと課題が見えてきます。関心を持った事業から、自分が働きたい仕事にも目を向けてみてください。
結論|食品と電子材料が利益を支える一方、冷凍食品の改善は途上
味の素は、食品の大きな事業基盤と、電子材料・医薬へ成長を広げる方向性にひかれる人に向く会社です。一方、冷凍食品やForge社は改善途上にあり、希望する事業の課題も知って選びたいところです。
| 判断項目 | 評価 | 要点 |
|---|---|---|
| 収益基盤 | 厚みあり | 調味料・食品が利益の中心で、電子材料の貢献も大きくなっています。 |
| 成長分野 | 拡大 | 電子材料に加え、医薬品の開発・製造受託も成長。食品以外にも事業の広がりがあります。 |
| 確認点 | 改善途上 | 冷凍食品と医薬事業のForge社には改善課題があります。希望分野が成長と立て直しのどちらに力を注いでいるかも大切です。 |
味の素の事業内容|食品・ヘルスケア等の役割
味の素グループの主な事業は、次の3つです。「ヘルスケア等」には医薬・アミノ酸だけでなく、半導体に使う電子材料も含まれます。
| 事業 | 主な製品・用途 |
|---|---|
| 調味料・食品 | 家庭用・外食用の調味料、スープ、加工食品、食品メーカー向けの素材など。国内外の食生活を支えます。 |
| 冷凍食品 | 餃子や米飯類などの家庭用・業務用食品。日本に加え、北米などでも展開しています。 |
| ヘルスケア等 | 医薬品の開発・製造受託(CDMO)、医薬・食品向けアミノ酸、半導体パッケージ基板の絶縁材料ABFなど。 |
理系新卒向け
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専攻から味の素の志望職種を探す転職希望者向け
電子材料の開発、工場のエンジニアリング、食品営業など、経験を生かせる仕事も気になるところです。転職ガイドで募集職種・応募条件・年収・働き方を比べ、希望する仕事と条件を具体化しましょう。
味の素の職種・年収・働き方を確認する将来性を判断する5つの視点
- 収益基盤:食品と食品以外の事業が、それぞれどれだけ利益を支えているか。
- 利益の伸びと変動:どの事業が、需要の拡大・価格対応・費用の変化で伸びたり落ち込んだりしているか。
- 成長分野の収益化:電子材料と医薬事業が、実際にどこまで利益を生んでいるか。
- 投資・事業整理:会社がどの分野の生産・開発を強め、どの事業の立て直しを進めているか。
- 中期計画・施策の進捗:会社が目指す方向へ、事業の拡大や改善が実際に進んでいるか。
事業別の3年業績|2024年3月期〜2026年3月期
連結の事業利益は3年間で増えています。ただし、事業ごとの採算には違いがあります。売上高と事業利益率を並べると、食品の規模と、ヘルスケア等の利益率上昇、冷凍食品の低下が分かります。
| 事業 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 連結合計 | 売上高 14,392.3億円事業利益率 10.3% | 売上高 15,305.6億円事業利益率 10.4% | 売上高 15,837.2億円事業利益率 11.4% |
| 調味料・食品 | 売上高 8,469.8億円事業利益率 15.0% | 売上高 8,960.1億円事業利益率 15.0% | 売上高 9,369.3億円事業利益率 15.3% |
| 冷凍食品 | 売上高 2,818.7億円事業利益率 4.9% | 売上高 2,893.9億円事業利益率 4.5% | 売上高 2,903.1億円事業利益率 2.9% |
| ヘルスケア等 | 売上高 2,945.6億円事業利益率 12.4% | 売上高 3,284.0億円事業利益率 13.9% | 売上高 3,415.0億円事業利益率 19.4% |
| その他 | 売上高 158.2億円事業利益率 18.4% | 売上高 167.6億円事業利益率 38.1% | 売上高 149.8億円事業利益率 40.5% |
食品の大きな収益源に、ヘルスケア等の利益率改善が加わり、冷凍食品の減益を補って全社利益が伸びています。
事業利益は、売上高から売上原価・販売費・研究開発費・一般管理費を差し引き、持分法による損益を加えた会社独自の指標で、営業利益とは異なります。事業別は全社共通費の控除前、連結合計は控除後です。2026年3月期から全社共通費の配分方法が変わっており、事業別の3年比較は現在の公式IRに掲載された同一表の数値を採用しました。利益率は百万円単位の原数値から計算し、表示時に丸めています。
調味料・食品|海外需要と価格対応が収益を支える
2026年3月期の事業利益は約1,430億円で、会社の利益を支える中心です。直近の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、海外の調味料が販売増で増益となりました。国内では、原料高に対応して値上げしたコーヒーの利益が大きく伸びています。
海外で商品が選ばれることに加え、コストが上がっても価格や商品構成で対応できることが、食品の収益を支えています。生活に身近な商品を、国や地域の食生活に合わせて広げていく事業です。
電子材料|AI向けなどの高性能材料が伸びる
2026年3月期の機能材料の事業利益は約546億円に拡大しました。AI・サーバーなどの高性能基板向けABFの販売が好調だったためです。半導体パッケージ基板の大型化・多層化で、使われるABFも増える方向にあります。
最新四半期も、機能材料は前年同期比で売上高54%増、事業利益77%増でした。販売増に加え、付加価値の高い製品の割合が増えたことも利益を押し上げています。食品以外の技術分野でも、すでに会社を支える利益源が育っている点が特徴です。
冷凍食品|リコールとコスト高が利益を圧迫
2026年3月期は、北米での事業環境の変化やリコールの影響などで減益となりました。最新四半期も、海外ではリコールの影響からの回復が遅れ、原料・物流費の上昇が重荷になっています。
国内は主力のギョーザが好調で増収でしたが、コスト上昇で大幅減益です。商品が売れていても、品質に関わる問題や生産・物流の費用によって利益が減ることが分かります。冷凍食品は、商品力に加えて採算を立て直す課題を持つ事業です。
医薬|受託事業は成長、Forge社は損失縮小の段階
最新四半期の医薬品開発・製造受託(CDMO)は、全体で増収増益でした。欧州では低分子医薬品が好調で、北米のForge社も売上増に伴って損失を縮めています。一方、日本のAJIPHASEは出荷時期による減収減益で、会社は計画どおりと説明しています。
医薬分野全体が不振なのではなく、地域や技術によって成長の段階が違います。拡大している受託事業と、まだ損失の残るForge社を分けると、会社の医薬事業を捉えやすくなります。
2030ロードマップと成長施策|電子材料・医薬・食品の進捗
会社の計画から知りたいのは、これから何に力を注ぐ会社なのか、ということです。味の素は食品の事業基盤を持ちながら、電子材料や医薬の受託事業も伸ばす方針です。同時に、冷凍食品やForge社では、生産性や採算の改善も進めています。
| 取り組み | 会社の方針・進捗 | 就職・転職で押さえたい点 |
|---|---|---|
| 電子材料の供給を拡大 | 高性能向けABFの需要拡大に対応するため、増産を進める方針です。岐阜県可児市では新工場用地を取得し、2032年の稼働を予定しています。 | 食品の会社という印象だけでは分からない、先端材料の成長分野があります。食品以外の技術にも関心がある人には魅力になり得ます。 |
| 冷凍食品の商品力・生産性を改善 | おいしさや便利さを高める商品開発と、生産管理のノウハウを広げて効率を上げる施策を掲げています。需要を取り込むだけでなく、利益が残る生産体制づくりも課題です。 | 新商品を届けることに加え、品質や安定生産を支えることにも関心があるか。食品の知名度より、事業が取り組む課題に目を向けたいところです。 |
| 医薬の受託事業を拡大 | 既存の低分子医薬品に加え、独自技術や遺伝子治療などへ対応領域を広げる方針です。Forge社では生産性の向上を進め、損失も縮小しています。 | 医薬品メーカーを技術・製造で支える事業に魅力を感じるか。国内外のどの事業・技術に関心があるかを考えると、応募理由も明確になります。 |
機能材料の数値はABF単独ではありません。上記は国内外のグループ全体の方針です。応募先が味の素株式会社かグループ会社か、どの職種かによって、関われる事業は異なります。
成長分野と、立て直しを進める事業がある
電子材料では、需要拡大に対応して生産・開発を強める方向が見えます。一方、冷凍食品は商品を売る力に加え、生産や品質を支えて利益を確保することが課題です。成長している分野にひかれるのか、身近な食品をより良く届けることに関わりたいのかで、注目する事業も変わります。
どちらも味の素が持つ事業の姿です。会社全体の成長に魅力を感じたら、その中で自分が関心を持つ分野の方針にも納得できるかを考えてみてください。
味の素の将来性評価|強み・課題と重視する条件
| 評価軸 | 評価 | 判断理由 | 就職・転職で押さえたい点 |
|---|---|---|---|
| 収益基盤 | 厚みあり | 調味料・食品が利益の中心で、電子材料も利益源に育っています。 | 大きな食品事業を基盤に、異なる技術分野も持つ会社で働くことに魅力を感じるか。 |
| 利益の伸びと変動 | 事業差あり | 食品・電子材料が増益を支える一方、冷凍食品はリコールや費用増で減益となっています。 | 知名度だけで、どの事業も安定していると考えず、希望分野が抱える課題も理解して選びたいところです。 |
| 成長分野の収益化 | 拡大 | 電子材料とCDMOは成長していますが、Forge社はまだ損失縮小の段階です。 | 先端材料や医薬にも関心がある人には事業の広がりがあります。希望する会社・職種が関わる分野も大切です。 |
| 投資・事業整理 | 増産・改善 | 電子材料の供給拡大と、冷凍食品・Forge社の生産性などの改善を進める方針です。 | 事業を大きくすることと、商品・生産を改善することのどちらに関心があるか。会社が力を注ぐ課題との接点を考えたいところです。 |
| 中期計画の進捗 | 成長と改善 | 電子材料・医薬の拡大は進んでいますが、冷凍食品やForge社の採算改善は続いています。 | 食品を土台に先端材料・医薬も伸ばす方向性に共感できるか。食品に関わりたい人も、その事業の方針から応募理由を考えられます。 |
味の素の将来性のまとめ
身近な食品を支える大きな事業基盤と、電子材料・医薬にも成長を広げる方向性に魅力を感じる人に向く会社です。食品なら商品力や生産の改善、電子材料なら高性能化への対応、医薬なら受託技術の拡大と、分野によって会社が力を注ぐ課題は異なります。その中に自分が関わりたいテーマがあるかを考えると、味の素を選びたい理由がはっきりしてきます。
最終判断|味の素への応募を検討するか、他社と比べるか
味の素への応募を検討する
食品を国内外に届ける事業や、電子材料・医薬へ広がる技術分野に、関わりたいテーマが見つかった方は、応募を検討したい一社でしょう。次は、その事業でどんな仕事を担えるか、専攻や経験との接点、働く条件を確かめてみてください。
理系新卒向け
食品の研究開発と、量産を支える設備・品質の仕事では、力を発揮する場面が違います。自分の専攻や研究に近い仕事、働きたい場所を理系職種ガイドで探してみてください。
専攻から味の素の志望職種を探す転職希望者向け
会社の成長に魅力を感じても、担当する仕事や勤務地で働き方は変わります。開発・設備・営業の求人例から経験との接点を探し、現職から変えたい条件も具体化しましょう。
味の素の職種・年収・働き方を確認する他社と比べる
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食品以外の素材・材料メーカーも候補に入れるなら、化学メーカーの比較記事で、収益基盤・成長分野・投資回収を比べられます。
化学メーカーの将来性を比べる
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