「ウシオ電機は半導体分野で伸びるのか」「露光装置への投資は、実際の利益につながっているのか」と知りたい人に向けて、現在確認できる事実を整理します。将来の業績を予想するのではなく、全社と事業別の3年業績、最新四半期、先端パッケージ向け露光装置、構造改革と中期目標を確認し、就職・転職候補に残す、他社と比べる、候補から外す、ここで判断を終えるのどれにするかを決めます。
結論|利益は回復したが、半導体露光の本格収益化を確かめる段階
公式発表2026年3月期の売上高は1,792億円、営業利益は119億円、営業利益率は6.7%、ROEは4.0%でした。営業利益は前期の88億円から回復しましたが、2024年3月期の129億円には届いていません。
1,700億円台を維持し、Industrial ProcessとVisual Imagingが規模を支えています。
2027年3月期第1四半期の営業利益率は10.1%でした。
露光装置の採用・引き合いを通期の売上と利益へつなげる段階です。
光源・映像・レーザーなど複数の光技術を持ち、先端パッケージ向け露光装置の採用や引き合いも進んでいます。一方、成長投資の中心であるIndustrial Processは3年間で減収減益となり、最新第1四半期の増益には10億円の棚卸資産評価損戻入も含まれます。候補に残すかは、収益基盤・利益成長力・成長分野の収益化・投資と構造改革・中期計画の達成状況の5点から判断します。
この結論の根拠を、次の5つの視点から確認していきます。
ウシオ電機の将来性を判断する5つの視点
「半導体関連だから伸びる」「長年の光技術があるから安定している」という情報だけでは、ウシオ電機を候補に残せるか判断できません。後続の数字を次の5項目に分けて確認します。
現在の売上と利益を、どの事業が支えているか。
売上の増加が営業利益率とROEの改善を伴っているか。
露光装置の採用・受注が検収、売上、利益へ進んでいるか。
成長投資と低収益事業の見直しを両立できているか。
策定時の営業利益率・ROE目標との差が縮まっているか。
全社3年業績|利益率は回復途上、現状は回復基調
公式発表2024~2026年3月期の通期実績を同じ指標で並べると、売上高は横ばい圏、営業利益とROEは2025年3月期に低下した後、2026年3月期に回復しました。
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | ROE | 読み取れること |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 1,794 | 129 | 7.2% | 4.5% | 3年間で最も高い営業利益 |
| 2025年3月期 | 1,776 | 88 | 5.0% | 3.1% | 利益率とROEが低下 |
| 2026年3月期 | 1,792 | 119 | 6.7% | 4.0% | 構造改革などで回復 |
売上高は2024年3月期と2026年3月期でほぼ同じですが、営業利益は129億円から88億円へ落ちた後、119億円まで戻りました。売上規模は一定でも、製品構成、評価損、先行投資、構造改革によって利益が動く会社です。ROEも4%前後にとどまり、収益性の回復が完了したとはいえません。
2026年3月期の調整後ROEは4.6%です。これはOSRAM事業買収に関わる一時費用などを除く会社独自の調整値であるため、上表では各年を同じ公表ROEで比較しています。
2027年3月期第1四半期は増収増益だが、特殊要因を含む
| 指標 | 2026年3月期1Q | 2027年3月期1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 383 | 489 | +27.7% |
| 営業利益 | 9 | 49 | +39億円 |
| 営業利益率 | 2.5% | 10.1% | +7.6ポイント |
売上高の増加には半導体関連の需要増とOSRAM事業買収による連結効果が含まれます。営業利益の増加には、主にVisual Imagingの構造改革効果、前年同期に計上した一時費用の減少、Industrial Processで発生した10億円の棚卸資産評価損戻入などが寄与しました。
出典:ウシオ電機「2024年3月期決算説明資料」「2025年3月期決算説明資料」「2026年3月期決算説明資料」「2027年3月期第1四半期決算説明資料」
事業別3年業績|Visual Imagingが回復を支え、Industrial Processは反転待ち
全社の増益だけでは、現在の利益源と将来の成長投資先を区別できません。2024~2026年3月期の同じ事業区分を、売上高・営業利益・営業利益率で比較します。
ウシオ電機の4つの事業を簡単に整理
半導体や電子部品、ディスプレイなどの製造工程で使う露光装置や光源を扱う事業です。先端パッケージ向け露光装置もここに含まれます。
映画館向けのデジタルシネマ機器・光源や、テーマパーク、ライブイベントなどの大型映像演出を扱う事業です。
紫外線を使った環境衛生や医療機器など、安心・安全に関わる事業です。清潔な空間づくり、ヘルスケア、医療・創薬分野へ光技術を展開しています。
LEDやレーザーのデバイス・モジュールなどを扱う事業です。映像、医療、センシング・計測などへ光源技術を提供しています。
事業内容の出典:ウシオ電機「事業セグメント概要」「製品情報」
| 事業 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 3年で分かること |
|---|---|---|---|---|
| Industrial Process | 821/108(13.2%) | 789/96(12.2%) | 771/64(8.4%) | 売上・利益・利益率が3年連続で低下 |
| Visual Imaging | 805/58(7.3%) | 808/7(0.9%) | 838/46(5.6%) | 利益急減後に回復し、全社増益を支える |
| Life Science | 52/▲23(▲44.7%) | 61/▲10(▲17.7%) | 62/1(2.2%) | 赤字を縮小し黒字化 |
| Photonics Solution | 102/▲15(▲14.8%) | 103/▲4(▲4.0%) | 105/5(5.3%) | 売上は横ばい圏、損益は黒字化 |
| その他 | 13/1 | 13/0 | 13/1 | 主要4事業以外の補足区分 |
各資料は億円未満を切り捨て、売上高は外部顧客向けで表示しています。連結合計には「その他」を含み、端数や事業間調整などの影響で事業別数値の単純合計と連結数値が一致しない場合があります。
映像装置の需要回復と構造改革により、営業利益は7億円から46億円へ戻りました。最新1Qも13億円を確保していますが、OSRAM取得事業の連結影響を含む点は分けて見ます。
露光装置や光源を持つ最大の利益事業ですが、通期営業利益は108億円から64億円へ低下しました。最新1Qは28億円まで改善したものの、評価損戻入10億円を含みます。
2026年3月期は営業利益1億円で黒字化しました。環境衛生や医療などへの光技術展開はありますが、全社利益への寄与はまだ小さい段階です。
2026年3月期は営業利益5億円へ改善しました。一方、半導体レーザーデバイス事業の譲渡も決めており、選択後の事業構成と継続利益を確認します。
成長分野|先端パッケージ向け露光装置を採用・受注から利益へつなげられるか
ウシオ電機は、半導体アドバンスドパッケージ向けにステッパ露光装置、DI露光装置、DLT装置を展開しています。市場の成長とウシオ電機の利益成長を同じ意味にはせず、装置ごとの進捗段階を確認します。
| 装置 | 現在確認できる進捗 | 会社の想定 | 次に確認すること |
|---|---|---|---|
| ステッパ露光装置 UX-5 | 主要な大手サブストレート基板メーカー各社で採用が進展し、受注・引き合いが増加 | FY27(2027年度)から業績貢献の拡大を想定 | 供給能力を増やし、販売台数と利益を拡大できるか |
| DLT装置 | 一部顧客で量産用途の採用内定、別の一部顧客で採用が決定 | FY27以降に寄与拡大、本格的な量産適用はFY28以降を想定 | 設置・顧客評価・量産開始を、売上と利益へつなげられるか |
| DI露光装置 | AIサーバー向け重厚基板や高精細パッケージ基板向けの需要が増加 | 3方式全体でFY27以降の販売拡大を目指す | DI単独の販売数量と利益寄与が開示されるか |
採用、受注、引き合いが複数方式で進み、UX-5は需要が現行の生産能力を上回ると会社が説明しています。
DLTは採用が始まった段階で、本格的な量産適用や大きな数量はこれからです。
最新1QのIndustrial Process増収は主に光源が寄与し、露光装置売上は検収時期の影響で減少しました。
反対に、検収の先送りや先行投資が続き、受注・引き合いの増加が利益へ表れなければ、成長市場にいるだけでは評価を引き上げられません。
出典:ウシオ電機「2027年3月期第1四半期決算説明資料」「同Q&A」「Industrial Process事業説明会資料」
Revive Vision 2030|構造改革の効果を利益率・ROEへつなげる
ウシオ電機は2024年策定の新成長戦略で、Phase Iの最終年度となるFY26(2026年度)とFY30(2030年度)の目標を示しました。売上規模だけでなく、営業利益率とROEの目標との差を確認します。
| 指標 | FY26 策定時目標 | FY26 最新会社予想 | FY30 目標 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,000 | 2,100 | 2,000~2,500 |
| 営業利益 | 200 | 140 | ― |
| 営業利益率 | 10% | 6.7% | 12%以上 |
| ROE | 8%以上 | 5.2% | 12%以上 |
FY26は2026年度(2027年3月期)、FY30は2030年度を指します。最新会社予想は2026年5月公表値で、2027年3月期第1四半期後も据え置かれています。会社の調整後ROE予想は7.0%ですが、表では通常のROE5.2%を使用しています。
最新予想は策定時の売上高目標を100億円上回る一方、営業利益は60億円、営業利益率は3.3ポイント、ROEは2.8ポイント下回る見通しです。OSRAM取得事業の連結で売上規模が増えても、利益率と資本効率が改善しなければ、計画の中心課題は残ります。
FY25の固定費削減効果は当初見込み57億円を上回る67億円。FY25~26合計では80億円を見込んでいます。
OSRAMのランプ事業取得、不採算事業の譲渡・終息、EUV関連投資の抑制などを並行しています。
DLTなど次世代露光装置への開発投資を継続し、FY27以降の業績寄与を目指しています。
構造改革の削減額だけでなく、通常の営業利益と露光装置の収益が増え、FY30の営業利益率・ROE12%以上へ差を縮められるかが将来性の分かれ目です。
全社ROICの継続的な時系列値と目標は、同じ条件で確認できません。資本効率は公表ROEで比較し、ROICは会社が全社体系化を検討中の指標として扱います。
出典:ウシオ電機「Revive Vision 2030・新成長戦略」「2026年3月期決算説明資料」「Ushio Report 2025」
ウシオ電機の将来性評価|期待できるが、露光装置の収益化確認が必要
ここまでの公式情報を、2026年8月時点の将来性評価として整理します。次の評価は公開情報に基づく当サイトの見解であり、将来の業績を断定するものではありません。
長年蓄積した光源・光学技術、先端パッケージ向け露光装置の採用進展、Visual Imagingの回復、赤字事業の黒字化は前向きな材料です。一方、3年間の売上は横ばいで、最大利益事業のIndustrial Processは減収減益でした。最新1Qの改善を通常利益へ定着させ、FY26策定時目標との差を縮められるかが、ウシオ電機の成長を裏付ける根拠になると考えられます。
| 評価軸 | 現時点の評価 | 判断根拠 |
|---|---|---|
| 収益基盤 | 一定の基盤 | 売上高は3年間1,700億円台を維持し、IPとVIを中心に複数の光関連事業を持つ |
| 利益成長力 | 回復確認中 | 営業利益率は7.2%から5.0%へ低下後、6.7%へ回復。最新1Qは10.1%だが特殊要因を含む |
| 成長分野の収益化 | 本格寄与待ち | UX-5・DI・DLTの採用や引き合いは進むが、本格的な業績寄与は主にFY27以降の想定 |
| 投資・構造改革 | 効果発現中 | 固定費削減と事業再編が利益回復に寄与する一方、買収統合と事業の選択は継続中 |
| 中期計画の達成状況 | 利益に差 | FY26策定時目標の利益率10%・ROE8%以上に対し、最新予想は6.7%・5.2% |
ウシオ電機を候補としておすすめできる人
- 光学、レーザー、電気電子、機械、材料、半導体プロセス、制御・ソフトを横断して装置や光源に関わりたい人
- 完成済みの高収益事業より、先端パッケージ向け装置の量産立ち上げや事業再構築に関心がある人
- 研究開発だけでなく、顧客評価、装置検収、量産導入までの長い事業化過程に魅力を感じる人
- 半導体、映像、医療・環境、計測などへ「光」を共通軸として技術を広げたい人
- 半導体設備投資や装置検収による業績変動を理解して候補を判断できる人
- 現在すでに高い利益率・ROEを実現している企業を最優先したい人
- 成長投資の可能性より、現在の利益成長実績を重視する人
- 複数の光関連事業より、半導体専業に近い収益構成を求める人
- DLTの量産・利益実績を確認してから判断したい人
- 事業再編やリソース移動の影響をできるだけ避けたい人
- 応募時点で配属事業・製品・工程を明確に固定したい人
公開情報だけでは、希望する事業や製品への配属は保証できません。最新の募集職種と配属条件は公式採用情報で確認してください。
反対に、現在の高収益性や配属の明確さを優先する場合は、ウシオ電機を直ちに除外するのではなく、同じ条件で他社と比較してから決めるのが適切です。
ウシオ電機の光技術、成長投資、改善途中の状態に魅力を感じたなら、次は自分の応募条件を確認します。まだ迷う場合だけ、迷っている理由に合う軸で他社と比べてみましょう。
最終判断|ウシオ電機に入社したいか、他社も比べたいか
現在の募集と、自分に不足している情報を一つ確認する
ウシオ電機を候補に残したら、「どの技術や事業に魅力を感じたか」「自分の専攻・経験をどこで生かしたいか」を整理します。理系新卒かメーカー転職かに応じて、今残っている疑問を一つ選んでください。
募集年度、職種、勤務地がまだ分からない人は、まず公式情報を確認します。
ウシオ電機の新卒募集を確認する応募する方向が固まり、求人情報、自己分析、ES・面接などの不足が一つに決まった方は、不足している応募準備の確認方法を選べます。
現在の求人、担当製品、仕事内容がまだ分からない人は、まず公式情報を確認します。
ウシオグループのキャリア採用を確認する応募する方向が固まり、求人、仕事内容、経験評価、応募準備の不足が一つに決まった方は、メーカー転職で不足情報を確認する方法を整理できます。
ウシオ電機だけでは決められない理由を一つ選ぶ
一人で三つの比較をする必要はありません。会社の将来性、理系新卒の専攻・職種・勤務地、メーカー転職の経験・条件のうち、今残っている疑問に合うものを一つ選んでください。
収益基盤、利益率、成長分野、設備投資循環を同じ軸で比べます。
ウシオ電機と他の半導体関連企業を比べる専攻、希望職種、研究所・工場などの勤務地から比べます。
専攻・職種・勤務地から候補を絞る経験、担当工程、仕事内容、希望条件との接点から比べます。
経験と希望条件から候補を絞る利益率や収益化時期の不確実性が、自分の許容条件に合わない
露光装置の本格寄与を待つ会社より、すでに高い収益性や明確な成長実績を持つ会社を選びたい場合は、ウシオ電機を候補から外して構いません。外した理由を次の会社選びの基準にします。
外した理由から次の候補を選ぶウシオ電機の現在地を確認できれば十分
3年業績、露光装置の進捗、構造改革、中期目標との差まで分かり、企業研究の目的を達成できたなら、追加ページを読む必要はありません。
確認日:2026年8月30日。通期比較は2024~2026年3月期、最新進捗は2026年8月7日公表の2027年3月期第1四半期を使用しています。
数値は特記のない限り会社資料の億円表示を使用しています。最新第1四半期にはOSRAM取得事業の連結効果が含まれるため、前年同期との単純な有機的比較ではありません。将来の業績や採用結果、希望事業への配属を保証するものではありません。応募時はウシオ電機の公式採用情報で最新条件をご確認ください。

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