「ニッパツはEV化後も大丈夫なのか」「HDDや半導体関連は利益を支えているのか」と気になる人向けに、3年業績、5事業、成長投資、中期計画を整理します。読み終えたら、就職・転職候補に残す、他社と比べる、候補から外す、ここで判断を終えるのどれにするかを決めましょう。
結論|ニッパツには将来性があるが、DDSへの利益集中を見分ける
公式発表2026年3月期の売上高は8,168億円、営業利益は457億円、営業利益率は5.6%でした。2027年3月期第1四半期は売上高2,162億円、営業利益144億円で、前年同期比ではそれぞれ8.1%、30.0%増えています。
シートと懸架ばねを中心に、大きな売上基盤があります。
2026年3月期はHDD用サスペンションが全社営業利益の半分以上を稼ぎました。
高容量HDDと半導体プロセス部品の生産能力を増やします。
自動車向けで大きな売上を持ち、データセンター向けHDD用サスペンションと半導体関連が利益成長を支えているためです。ただし、2026年3月期はDDSだけで全社営業利益の約57%を占め、懸架ばねの営業利益率は0.4%でした。高収益事業の成長と、自動車事業の採算改善を分けて確認したい会社です。
まず、ニッパツが何を作っている会社なのかを簡単に確認してみましょう。
ニッパツは何をしている会社?5つの事業と将来性を見る視点
ニッパツの事業内容
ニッパツは、自動車の足回りやシートだけでなく、HDD、半導体製造装置、電力機器にも製品を供給しています。
コイルばね、板ばねなどを自動車メーカーへ供給します。衝撃を吸収するため、EVでも必要です。
見る点:北米の採算、関税、生産性を改善できるか。
自動車用シート、フレームなどを供給します。売上は5事業で最大ですが、2026年3月期の利益率は2.8%でした。
見る点:高付加価値化と合理化を利益へつなげられるか。
自動車用の精密ばね、モーターコア、HDD用機構部品などを扱います。
見る点:既存部品の変化を電動化製品で補えるか。
DDSは、HDDの読み書きヘッドを正しい位置へ動かす薄く精密なばねです。
見る点:高容量HDD需要と高い利益率が続くか。
ウエハを加熱・冷却する部品、電力部品用の金属基板、配管支持装置や駐車装置などを扱います。
見る点:半導体向けの先行投資を安定利益へ変えられるか。
将来性は5つの視点で判断する
売上と利益を支える事業はどこか。
売上規模と利益率に差があるか。
自動車、HDD、半導体の需要は続くか。
能力増強を売上と利益へつなげられるか。
関税、市況、固定費、為替の影響を吸収できるか。
全社3年業績|売上は拡大、利益は2025年3月期を頂点に変動
会社全体の通期業績を同じ指標で比べると、売上高は3年連続で増えました。一方、営業利益は2025年3月期に大きく伸びた後、2026年3月期は減っています。
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | 読み取れること |
|---|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 7,669 | 346 | 4.5% | 中計の出発点。売上規模に対して利益率は低い |
| 2025年3月期 | 8,016 | 521 | 6.5% | 増収増益で、3年間では利益の最高点 |
| 2026年3月期 | 8,168 | 457 | 5.6% | 増収だが、将来投資・固定費・関税などで減益 |
数字から分かること2024年3月期から2年間で、売上高は499億円、営業利益は111億円増えました。ただし、直近は増収減益です。会社の規模だけでなく、どの事業が利益を稼いだかを見る必要があります。
最新第1四半期は増収増益、通期予想は据え置き
前年同期比8.1%増。
前年同期比30.0%増。
第1四半期時点では変更なし。
事業別業績|DDSが利益を支え、懸架ばね・シートは採算改善が課題
ニッパツは売上の約7割が自動車関連ですが、利益の中心はHDD向けのDDSです。2026年3月期と最新第1四半期を同じ事業区分で比べます。
| 事業 | 2026年3月期 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | 2027年3月期1Q 売上高/営業利益 | 現在の見方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 懸架ばね | 1,674 | 7 | 0.4% | 434/▲5 | 売上規模は大きいが、北米関税などで1Qは赤字 |
| シート | 2,925 | 80 | 2.8% | 741/18 | 最大の売上事業。合理化による利益率改善を確認 |
| 精密部品 | 1,056 | 36 | 3.5% | 281/13 | 自動車部品とHDD用機構部品の数量増で1Q増益 |
| DDS | 1,267 | 260 | 20.6% | 376/91 | 全社利益の中心。高容量HDD需要で1Qも増収増益 |
| 産業機器ほか | 1,245 | 72 | 5.9% | 330/27 | 半導体プロセス部品と金属基板が1Q増収増益 |
DDSは2026年3月期の連結売上高の約16%ですが、営業利益の約57%を占めます。「5事業に分散しているから安定」とは言い切れず、売上の分散と利益の集中を分けて見る必要があります。
DDSの通期営業利益予想は300億円から310億円へ引き上げ、懸架ばねは40億円から30億円へ引き下げています。高容量HDDの強さが自動車事業の弱さを補う構図が、さらに分かりやすくなりました。
成長3分野|高容量HDD・半導体プロセス部品・電動車部品をどう伸ばすか
需要、生産能力、現在の利益貢献を分けて見てみましょう。
2027年3月期第1四半期のDDSは売上24.0%増、営業利益43.1%増でした。
タイの新生産棟へ約150億円、今後は今回分を含め総額350億円程度を投じます。最大1.6倍へ拡張できる計画ですが、竣工は2027年12月予定です。
成膜やエッチングの工程で、ウエハを加熱・冷却する冷却板、シャワーヘッド、ステージヒータなどを供給します。
伊勢原・宮田工場へ約60億円を追加投資し、2027年度から設備を順次導入します。将来の追加投資を含め、生産能力を現状比2倍にする目標です。
モーターコア、金属基板、薄板ばねなどを展開し、2026年には駆動用モーター向けの2種類のローターを共同開発しました。
開発品ごとの売上・利益は未開示です。現在の利益柱とはせず、採用と量産を確認します。
2026中期経営計画|営業利益590億円予想を実績にできるか
2026中期経営計画の最終年度は2027年3月期です。会社予想では売上高、営業利益、利益率、ROE、ROICの目標を上回りますが、まだ達成済みではありません。
| 指標 | 2027年3月期 中計目標 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 会社予想 | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,500億円 | 8,168億円 | 8,600億円 | 会社予想では目標を100億円上回る |
| 営業利益 | 520億円 | 457億円 | 590億円 | 会社予想では目標を70億円上回る |
| 営業利益率 | 6.1% | 5.6% | 6.9% | 低採算の自動車事業も含めて実現できるか |
| ROE | 10%以上 | 6.6% | 10.0% | 予想は目標水準。実績化を確認 |
| ROIC | 7%以上 | 6.8% | 8.0% | 投資効率が予想どおり改善するか |
2027年3月期の設備投資は587億円を見込み、このうちDDSは154億円です。全社予想が中計を超えていても、DDSへの利益集中が続くだけでは事業全体の改善とは言えません。懸架ばね・シートの合理化と、産業機器の利益拡大も同時に確認したいところです。
計画の見方中計を上回る予想は前向きな材料です。ただし、会社予想はHDD・半導体需要、自動車生産、関税回収、合理化を前提にしています。次の決算では、全社の達成率だけでなく、5事業の利益内訳を確認します。
ニッパツの将来性評価|おすすめできる人と確認したいリスク
ここまでの公式情報を、2026年9月時点の将来性評価としてまとめます。以下は公開情報に基づく当サイトの見解で、将来の業績や採用結果を保証するものではありません。
| 評価軸 | 現時点の評価 | 判断根拠 | 次に確認すること |
|---|---|---|---|
| 現在の収益基盤 | 良好 | 売上高8,000億円超。自動車、情報通信、産業機器へ展開 | 自動車生産の変化を他分野で補えるか |
| 事業別の稼ぐ力 | 強みと偏り | DDS利益率20.6%に対し、懸架ばね0.4%、シート2.8% | 自動車事業の採算を改善できるか |
| 成長分野 | 成長中 | 高容量HDDと半導体部品は最新1Qも増収増益 | 市況変動の中でも利益を維持できるか |
| 投資と計画 | 実績化待ち | 会社予想は中計目標超え。大型能力増強は立ち上げ途中 | 投資後の稼働率、利益率、ROIC |
| 共通リスク | 注意 | 北米関税、自動車生産、HDD・半導体市況、固定費、為替 | DDSへの利益集中が緩和するか |
一方、現在は「すべての事業が安定して稼ぐ会社」ではありません。DDSの成長を評価しつつ、懸架ばね・シートの採算改善と大型投資の回収を継続して見られる人に向いています。
ニッパツをおすすめできる人
- 自動車からHDD・半導体製造装置まで、複数市場を持つ部品メーカーに関心がある
- ばね、金属・精密加工、熱制御など、欠かせない技術を重視する
- 高収益事業と改善途中の事業を分けて評価できる
- 特定事業への利益集中が小さい会社を優先したい
- HDD・半導体の需要循環を受けにくい会社を選びたい
- 車載ソフトウェアや電装を成長の中心に置く会社を探している
最終判断|ニッパツを候補に残すか、他社と比べるか
残っている疑問に合う確認先を一つ選ぶ
自動車部品の売上基盤とDDS・半導体の成長を評価でき、利益集中も確認し続けられるなら、候補に残せます。新卒・転職と、まだ分からないことに応じて一つだけ選んでください。
募集年度、技術系職種、応募条件を公式情報で確認します。
ニッパツ公式で新卒採用を確認する募集は確認済みで、自己分析、企業研究、ES・面接準備のどれを補うか迷う人向けです。
ニッパツへの応募準備で足りないものを整理する現在の募集職種と求人の有無を公式情報で確認します。
ニッパツ公式でキャリア採用を確認する求人は確認済みで、仕事内容、配属、勤務地、条件、経験との接点を整理したい人向けです。
ニッパツへの転職で不足している情報を整理する迷っている条件を一つ決める
「現在の利益率」「DDSへの利益集中」「自動車事業の採算」「設備投資の回収」のうち、気になる条件を一つ選び、デンソー、アイシン、日本特殊陶業など2~3社と同じ年度・指標で比べてみましょう。
外す理由を次の会社選びの条件にする
HDD・半導体市況への依存や、自動車事業の低い利益率を許容しにくいなら、候補から外して構いません。「利益源が分散している」「自動車以外の利益が安定している」など、次に優先する条件を一つ残します。
会社の現在地を確認できれば十分
自動車の売上基盤、DDSへの利益集中、HDD・半導体投資、中計との差まで確認でき、応募や他社比較が必要なければ、ほかのページを読む必要はありません。
金額は特記のない限り会社公表値を億円単位へ四捨五入しています。利益率と構成比は公表値または公表値からの計算です。会社予想と設備投資計画は達成済みの実績ではありません。将来の業績、採用結果、希望職種・勤務地への配属を保証するものではありません。応募時はニッパツ公式の最新情報をご確認ください。
確認日:2026年9月2日。通期比較は2024~2026年3月期、最新進捗は2026年8月6日公表の2027年3月期第1四半期を使用しています。

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