「DICは印刷インキや顔料以外でも成長できるのか」「構造改革後の利益改善は続いているのか」と知りたい人に向けて、現在確認できる事実を整理します。将来の業績を予想するのではなく、全社と事業別の3年業績、2026年上期、長期計画を確認し、就職・転職候補に残す、他社と比べる、候補から外す、ここで判断を終えるのどれにするかを決めます。
結論|DICは収益改善が進み、上期増益の持続性を確かめる段階
公式発表2025年12月期の売上高は1兆522億円、営業利益は522億円でした。売上高は前期比1.8%減りましたが、営業利益は17.2%増え、営業利益率は4.2%から5.0%へ改善しています。2026年上期は売上高5,930億円、営業利益518億円となり、中間期の過去最高益を更新しました。
パッケージング&グラフィックが売上の半分超を占め、安定した利益を生みます。
AI半導体向け材料、工業用テープ、PPSコンパウンドの出荷が伸びました。
一時要因と在庫積み増しの影響を除いても増益を維持できるかを見る段階です。
2023年から2025年まで全社営業利益が増え、2026年上期は3事業すべてが増益しました。ただし、カラー&ディスプレイの利益には59億円の負債取崩しが含まれ、海外では顧客による在庫積み増しや円安も増益要因になっています。そこで、収益基盤・利益成長力・成長分野の収益化・構造改革と資本効率・中期計画の達成状況の5点から、利益改善の質を確認します。
DICを候補に残せる根拠と、今後も確認したい条件を順番に見てみましょう。
DICの将来性を判断する5つの視点
「世界シェアの高い製品がある」「AI半導体向け材料を扱う」という情報だけでは、会社全体を候補に残せるか判断できません。後続の数字を次の5項目に分けて確認します。
どの事業が現在の売上と利益を支えているか。
売上の増減だけでなく、営業利益率と資本効率が改善しているか。
半導体・電子・モビリティ向け需要が実際の利益へ表れているか。
顔料事業の再編と事業売却が継続的な利益・ROIC改善につながるか。
営業利益だけでなく、ROIC6%以上とROE10%以上へ近づいているか。
全社3年業績|営業利益率は1.7%から5.0%へ改善
公式発表2023~2025年12月期の通期実績を同じ指標で並べます。DICは売上規模を大きく増やしたのではなく、価格対応、高付加価値品、コスト削減、事業再編によって収益性を改善しました。
| 年度 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | 親会社株主に帰属する純利益 | ROE | 読み取れること |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年12月期 | 10,387 | 179 | 1.7% | ▲399 | ▲10.6% | 顔料事業と原燃料・エネルギーコストが重荷 |
| 2024年12月期 | 10,711 | 445 | 4.2% | 213 | 5.6% | 構造改革と価格対応で利益が回復 |
| 2025年12月期 | 10,522 | 522 | 5.0% | 324 | 7.4% | 減収でも増益となり、収益性が改善 |
3年間で売上高は135億円の増加にとどまりましたが、営業利益は343億円増えました。営業利益率は1.7%から5.0%、ROEはマイナスから7.4%へ改善しています。2025年は、ボリュームゾーン製品の出荷が減る中でも、高付加価値品、価格対応、欧米顔料事業の構造改革が増益につながりました。
この数字から決められることDICは2023年の低収益状態から抜け出し、会社全体が急速に悪化している状態ではありません。規模より収益性の改善を重視する人は候補に残せます。一方、5.0%の営業利益率を改善の完成とせず、成長材料と構造改革が継続利益へつながるかを確認する必要があります。
出典:DIC「会社概要・業績等の推移」「2025年12月期 決算短信」「CFOメッセージ」
2026年上期|3事業すべて増益、過去最高益の中身を確認
2026年上期の営業利益は、前年同期の270億円から518億円へ92.2%増えました。ただし、上期の増益をそのまま今後の成長率とみなさず、継続しやすい要因と一時的な要因を分けます。
| 指標 | 2025年上期 | 2026年上期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,232 | 5,930 | +13.3% |
| 営業利益 | 270 | 518 | +92.2% |
| 営業利益率 | 5.2% | 8.7% | +3.6ポイント |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 131 | 372 | +184.1% |
| 事業 | 2025年上期 | 2026年上期 | 営業利益の変化 | 増益の中身 |
|---|---|---|---|---|
| パッケージング&グラフィック | 2,688/134 | 3,072/217 | +62.6% | 価格対応、高付加価値品、海外顧客の在庫積み増し |
| カラー&ディスプレイ | 1,313/57 | 1,425/120 | 2.1倍 | 出荷増・コスト削減に加え、59億円の負債取崩し |
| ファンクショナルプロダクツ | 1,430/109 | 1,616/213 | +96.4% | AI半導体向け材料、工業用テープ、PPS、価格対応 |
| その他・全社・消去 | ▲198/▲29 | ▲183/▲32 | ― | 主要3事業以外と全社費用 |
AI半導体向けエポキシ樹脂、工業用テープ、PPSコンパウンドの販売増は、成長分野の収益化を示す材料です。
原料高への価格転嫁は重要ですが、為替の押し上げを会社固有の成長力と混同しないようにします。
59億円の取崩しと顧客の先行発注は、同じ規模で繰り返す前提にできません。
出典:DIC「2026年12月期 第2四半期決算短信」「2026年12月期 第2四半期決算説明資料」
事業別3年業績|包装が支え、顔料改革と機能材料が利益を伸ばす
2025年12月期から、パッケージング&グラフィック、ファンクショナルプロダクツ、その他・全社・消去の間で一部の区分が変わり、2024年は変更後の数値に組み替えられています。2023年は当時の開示区分のため参考値として扱い、無理に連続比較しません。
| 事業 | 2023年 参考値 | 2024年 組替後 | 2025年 | 現在の役割 |
|---|---|---|---|---|
| パッケージング&グラフィック | 5,419/220 | 5,601/316 | 5,497/311 | 売上の半分超を占める収益基盤 |
| カラー&ディスプレイ | 2,273/▲89 | 2,570/▲3 | 2,475/50 | 欧米顔料改革により黒字化 |
| ファンクショナルプロダクツ | 3,059/154 | 2,960/214 | 2,909/231 | 減収でも利益が増えた成長候補 |
| その他・全社・消去 | ▲364/▲106 | ▲419/▲82 | ▲358/▲70 | 主要3事業以外と全社費用 |
2025年の営業利益は311億円です。出版用インキは構造的な需要減少がありますが、包装・デジタル印刷・価格対応でキャッシュ創出を担います。
2023年の赤字から2025年に50億円の黒字へ改善しました。欧米顔料事業の再編効果を、一時要因なしで維持できるかが次の条件です。
2023年から2025年は減収でも営業利益が増えました。半導体・電子・モビリティ向け高付加価値品が利益へつながっています。
包装・印刷インキが現在の収益を支え、顔料事業の改革と機能材料の拡大が今後の利益改善を担う構造です。安定基盤と成長材料の両方に関心がある人は候補に残せます。高収益の成長事業だけを希望する人は、会社全体ではなく募集職種と配属候補も確認してください。
出典:DIC「2025年12月期 決算短信」。2023年は当時の開示区分、2024年は2025年の変更後区分による組替値です。
DIC Vision 2030 Phase2|営業利益800億円を一時要因なしで維持できるか
2026~2030年のPhase2は、インキ・顔料・ポリマなどの中核事業で収益性を高めながら、半導体、バッテリー、フィジカルAIを成長事業として育てる計画です。売上規模だけでなく、ROICとROEを高めることが中心課題です。
| 指標 | 2025年 実績 | 2026年 当初計画 | 2026年 8月見通し | 2030年 目標 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,522億円 | 11,000億円 | 11,400億円 | 12,400億円以上 |
| 営業利益 | 522億円 | 560億円 | 780億円 | 800億円以上 |
| 営業利益率 | 5.0% | 5.1% | 6.8% | 利益額と資本効率で管理 |
| ROIC | 4.4% | 4.7% | ― | 6.0%以上 |
| ROE | 7.4% | 7.1% | ― | 10.0%以上 |
2026年8月の営業利益見通し780億円は、2030年目標800億円以上に近い水準です。ただし、上期には一時要因と外部環境の追い風が含まれるため、1年の利益見通しだけでPhase2を達成したとは判断できません。2027年以降も利益を維持し、ROIC6%以上へ資本効率を高められるかが重要です。
包装・印刷、顔料、ポリマで価格、製品構成、資産効率を改善し、安定したキャッシュを生み出します。
半導体、バッテリー、フィジカルAIを重点領域とし、2026~2030年に戦略投資とCVCへ900億円+αを配分する計画です。
ファンクショナルプロダクツの2025年ROICは7.9%で、2030年目標は11.0%以上です。半導体材料などの成長が売上だけでなく利益と資本効率へ表れれば、DICを候補に残す根拠がさらに強まります。
出典:DIC「DIC Vision 2030 Phase2の策定に関する説明資料」「CFOメッセージ」「2026年12月期 第2四半期決算短信」
DICの将来性評価|収益改善と機能材料は強み、上期増益の持続性は確認が必要
ここまでの公式情報を、2026年8月時点の将来性評価として整理します。次の評価は公開情報に基づく当サイトの見解であり、将来の業績を断定するものではありません。
| 評価軸 | 現時点の評価 | 判断根拠 |
|---|---|---|
| 収益基盤 | 強みとみる | 包装・印刷インキが売上の半分超を占め、2025年は3事業すべて黒字 |
| 利益成長力 | 改善 | 営業利益は2023年179億円、2024年445億円、2025年522億円。2026年上期は518億円 |
| 成長分野の収益化 | 進展 | AI半導体向け材料、工業用テープ、PPSが2026年上期のファンクショナルプロダクツ増益に寄与 |
| 構造改革・資本効率 | 改善途中 | 顔料事業は黒字化したが、2026年上期利益には59億円の一時要因が含まれる |
| 中期計画の達成状況 | 持続確認 | 2026年営業利益見通し780億円は2030年目標800億円に近いが、下期反動とROIC改善の確認が必要 |
既存事業の収益改善が3年続き、2026年上期にはファンクショナルプロダクツの高付加価値製品が利益増加へつながったためです。
特に候補に残したいのは、次のような人です。
- 印刷・包装材料の安定基盤と、電子・半導体・自動車向け機能材料の両方に魅力を感じる人
- 研究開発だけでなく、価格対応、製品構成、生産・事業改革まで含めて素材メーカーの変化に関わりたい人
- 完成した高収益企業だけでなく、顔料事業の改革と成長事業の拡大が進む途中の会社にも関心がある人
当てはまるなら、DICを志望先に残して構いません。上期の過去最高益が一時要因や外部環境に左右される点を許容しにくい人は、下期決算を確認するか、同じ条件で他社も比べてから決めるのがよいでしょう。
DICの収益改善、安定基盤と機能材料の組み合わせに魅力を感じたなら、次は応募に必要な情報を確認します。まだ迷う場合だけ、迷っている理由に合う軸で他社と比べてみましょう。
最終判断|DICに入社したいか、他社も比べたいか
DICで働きたい理由を、応募で伝えられる形にする
DICを志望先に残したら、「どの事業や製品に魅力を感じたか」「自分の専攻・経験をどこで生かしたいか」を整理します。理系新卒かメーカー転職かに応じて、今不足している情報を一つ選んでください。
応募する職種が決まっている人は、求人・自己分析・ES・面接・個別相談のうち、足りない準備を一つ選びます。
DICへの応募準備で足りないものを一つ選ぶ応募年度や職種がまだ決まっていない方は、先にDIC公式の募集要項を確認してください。
応募する職種が決まっている人は、対象求人、仕事内容、経験評価、応募準備のうち、不足している情報を一つ整理します。
DIC転職に向けて不足情報を一つ整理するまず現在の募集職種を確認したい方は、DIC公式のキャリア採用情報をご覧ください。
DICだけでは決められない理由を一つ選ぶ
一人で三つの比較をする必要はありません。会社の将来性、理系新卒の専攻・職種・勤務地、メーカー転職の経験・条件のうち、今残っている疑問に合うものを一つ選んでください。
収益基盤、利益率、成長材料、構造改革、投資回収を同じ軸で比べます。
DICと他の化学メーカーを比べる専攻、希望職種、研究所・工場などの勤務地から比べます。
専攻・職種・勤務地から候補を絞る経験、仕事内容、配属、希望条件との接点から比べます。
経験と希望条件から候補を絞るDICに入社したら、最初にどんな仕事をするのか知りたい学生へ
DICの将来性が分かっても、入社後にどの部署で何を担当するかまでは見えてきません。事業や拠点が多い企業ほど、配属先によって仕事内容や身につく経験が変わります。
ビズリーチ・キャンパスは、先輩の所属企業・職種・経歴を見て、話を聞きたい相手を探せる大学別のOB・OG訪問サービスです。若手の仕事や配属後の経験を聞けば、自分が働く姿を想像しやすくなります。
開校大学は公式サイトで確認できます。希望する企業・職種の先輩が登録されているか、訪問依頼が承諾されるかは、企業・職種・時期によって変わります。
数値は特記のない限り億円単位へ四捨五入しています。2025年12月期と2026年上期にセグメント集計方法の変更があるため、変更前後の数値を無理に接続していません。将来の業績や採用結果、希望事業への配属を保証するものではありません。応募時はDIC公式の採用情報で最新条件をご確認ください。
確認日:2026年8月29日。通期比較は2023~2025年12月期、最新進捗は2026年8月10日公表の2026年12月期第2四半期(中間期)を使用しています。

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