就活生が押さえておきたい川崎重工の将来性について経営戦略などをもとに詳細に解説!

目次

はじめに

こんにちわ!
悩める就活生のために企業分析を行うレイです。

今回は運送車両やエネルギー関連に強い川崎重工の将来性について評価いたします。

気になる方は将来性の評価方法について以下の記事をご参照ください。

2022年3月期通期決算」のデータをもとに川崎重工の将来性を評価いたします。
それではさっそく見ていきましょう。

川崎重工の事業内容と業績

代表的な4つの事業内容

多くの事業を有する川崎重工ですが、今回は代表的な4つの分野について紹介していきます。

国内の鉄道車両シェア2位の川崎車両

まず皆さんにとって最も身近な存在である鉄道車両を製造しているのが「川崎車両株式会社」です。

新幹線をはじめとする様々な鉄道車両を製造しており、1906年から今日に至るまで続いている歴史ある部門です。
日本国内で考えると川崎車両は市場シェア2位(1位:日立製作所)となっています。

空飛ぶ車両の製造を行う部門

次に飛行機やヘリコプター、宇宙機器関連を開発する「航空宇宙システムカンパニー」です、

防衛省向けに輸送機や誘導弾の開発・製造を行っているだけでなく、ボーイング787など民間機の生産にも介入しています。
特にヘリコプターは日本国内でトップシェアを誇っており、自衛隊機やドクターヘリとして活躍しています。

海外に二輪車やエンジンを提供する部門

パワースポーツ&エンジン部門は二輪車やエンジンを販売する部門です。

この部門は日本だけでなく、米国・欧州・東南アジアなどに販売していることが特徴的です。
特に近年では排出ガス規制に伴い、環境に配慮した高性能エンジンが注目されています。

またどの部門よりも円安・円高の影響を受けやすい部門といえます。

川崎重工が最も力を入れるエネルギー分野

続いて世界中で活躍する「エネルギーソリューション&マリーンカンパニー」です。

主に皆さんが生活に必要な電気や熱の製造を行っており、SDGsへの取り組みが最も活発な部門になります。
特に2050年までのカーボンニュートラル実現に向け、「水素エネルギー」の開発に大規模な投資を行うほど力を入れています。

カーボンニュートラル・・・二酸化炭素の発生源であるカーボン(炭素)を使わないこと

カーボンニュートラルとは
二酸化炭素の発生源である
カーボン(炭素)を使わないこと

この「水素エネルギー」に関しては川崎重工の将来性に大きな影響力があるので、のちほど詳しく解説いたします。

川崎重工の業績

直近4年間はやや低迷

まず直近4年間の業績について下図をご覧ください。

営業利益・・・売上高から原価、販管費(人件費、広告費など)を差し引いたもの

上図のように2022年度は2019年度水準の業績まで回復していることがわかります。
2020年度はコロナウイルスの影響で業績が大きく落ち込んでいますが、見事に立て直しています。

なぜ川崎重工の業績は回復したのでしょうか?

コロナからの回復と円安による追い風

2022年度は民間旅客機、宇宙産業などの需要が大幅に回復しました。
これにより一時的に設備投資を見送っていた企業による注文が増加しました。

またパワースポーツ・エンジン事業は海外と取引が多く、円安により恩恵を得たといえるでしょう。

川崎重工の中期的な将来性

結論:川崎重工の中期的(~5年)な将来性は「良くも悪くもない

川崎重工の中期的将来性は「良くも悪くもない

それでは川崎重工の中期的な(~5年)将来性に好影響、悪影響を及ぼす要因についてそれぞれ解説いたします。

円安と産業インフラ回復は好影響

海外取引のある部門は円安により好調へ

現在、2021年11月からの米国の物価上昇に加えロシア・ウクライナ戦争を皮切りに歴史的な円安となっています。
この影響により川崎重工の「車両部門」「川崎モータース」は増益が見込めるとされています。

円安は輸出が多い企業にとって有利な状況

円安は輸出が多い企業にとって
有利な状況

特に川崎モータースの海外向けの販売台数は堅調に増加しています。
下記の図をご覧ください。(参照:川崎重工

上図は2020、2021年度の川崎モータースの海外向け販売台数の比較になります。
左図の先進国に注目するとドルを基軸通貨とする米国やカナダを中心に販売台数が増加しています。

また今後も海外の二輪車需要は増加すると予想されており、円安の恩恵を大きく受けることができそうです。

半導体不足の反動から精密機器の需要増加

新型コロナウイルスからの急激な経済回復は深刻な半導体不足をもたらし、自動車や産業ロボットなどの製造がストップするなど大きな問題となりました。

その一方、ほとんどの半導体メーカーの業績は非常に好調でした。
そしてさらなる利益確保のため、多くの半導体メーカーが生産能力の向上を目的とした設備投資を行っています。

この影響を受け川崎重工の精密機器の需要増加が予想されます。
未だに半導体の不足が続いているのは驚きですね。

ではその反面、川崎重工の中期的な将来性に悪影響を及ぼす要因について見ていきましょう。

懸念点は「米国経済」と「成長力」

米国経済の停滞が日本経済に大打撃!?

前述の通り歴史的な円安となっていますが、メリットばかりではありません。

現在、米国経済は深刻な物価上昇に伴い経済停滞の危機に瀕しています。
就活生にわかるように簡単な流れ図を見てみましょう。

ざっくりですが、上図が経済サイクルのイメージで赤枠の部分が現在の段階に当たります。
もしこのままの流れで行くと米国の経済停滞は免れません

米国経済が停滞すれば日本に多大な悪影響が及ぶことは間違いありません
海外にモノが売れなくなると日本国内の経済も悪化するので、必然的に国内需要も低下することになります。

直接的に考えても川崎重工も円安効果で増益を期待しているわけですから、川崎重工への悪影響は避けられないでしょう。

現状では成長に限界が見える!?

まず私が気になったのは大きな成長を期待できる部門がない点です。

例えば航空宇宙システム部門で言えば、自衛隊機・ドクターヘリには一定の注文が期待でき安定した売り上げにはなると思います。

しかし注文量が急に増えることは考えにくいですよね。
自衛隊機は防衛相の予算次第ですし、平和を大切にする日本では予算が急に増加する可能性が低いです。

この例のように一定の注文量が確保できる部門は非常に多いといえますが、急に増加することもないといえる部門ばかりです。

現状の川崎重工は成長性よりも安定性の方が高い

現状の川崎重工は成長性よりも
安定性の方が高い


以上のメリットとデメリットをそれぞれ熟慮した結果、川崎重工の中期的な将来性は良いとも悪いとも言い切れないといえます。

川崎重工の長期的な将来性

結論:川崎重工の長期的(10年~)な将来性は「期待できる」

川崎重工の長期的な将来性は「期待できる」

水素エネルギーに振り切った経営戦略

川崎重工の経営戦略は、大部分が「水素エネルギー」に関する内容です。(参照:川崎重工
エントリーを考えている就活生は必ず目を通しておく必要があるので、リンクから確認しておいてください。

具体的に水素エネルギーで何ができるのか?
それが説明されているのが下のスライドになります。

端的にいえば「地球に優しい水素エネルギーを電池や燃料として使おうプロジェクト」です。

地球温暖化の抑制、SDGsの達成にも貢献する川崎重工が手掛ける一大プロジェクトになります。
川崎重工志望者は最低でも次に紹介するメリット、デメリットは押さえておきましょう

水素エネルギーについて

水素エネルギーの魅力

では簡単に水素エネルギーの4つのメリットについて紹介しておきます。

  • 水素は燃やしても水にしかならない
  • 世界中どこにでも存在する資源
  • 利用が容易で安価
  • 日本だけでなく世界が注目するエネルギー

特に「水素燃料は水に変化する」「世界中に存在」というのは地球環境を守るエネルギー資源がどこでも製造できることを意味しており、注目された要因でした。
また利用が容易で安価であることから実用化に向けたコスト面もある程度は解決できそうですよね。

とはいえもちろん水素エネルギーにも弱点が存在します。

水素エネルギーの問題点

では水素エネルギーのデメリットとなっている3つの問題点を紹介しましょう。

  • 水素の製造はコストが高く環境に悪い
  • 水素の供給地点が少なすぎる
  • 水素を大量に輸送・貯蓄する方法がない

上記の3つの中で目を引くのが「水素製造が環境に悪い」というポイントです。

あれ??環境に良いエネルギーじゃないの??
そんな疑問が皆さんの頭に浮かんでると思います。

現状では水素の発電には2つの方法があります。
地球環境に負荷がかかる「化石燃料を燃やす」と地球に優しい「水の電気分解」の2種類です。

「化石燃料を燃やす」に比べ「水の電気分解」は約3倍のコストがかかるといわれています。
つまり大量に使うことを前提に考えると「化石燃料を燃やす」方法が有力になっているのです。

この状態では本末転倒になってしまうので、早めに解決する必要があるといえます。

以上のメリット・デメリットを参考にしつつ、川崎重工の将来性を左右する水素エネルギーの将来性について私なりに考えました。

「川崎重工の将来性」「水素エネルギーの将来性」

「川崎重工の将来性
水素エネルギーの実現に依存

将来性が期待できる2つの理由

資源が乏しい日本に好都合な資源

まずエネルギー資源が乏しい日本にとって水から作れる水素は魅力的です。

日本は国土が小さく、標高差が激しい海に囲まれた島国という特徴があります。
この厳しい条件で炭素資源に頼らないクリーンな方法で電気や燃料を作るのは難しく、海に囲まれているので日本は他国からエネルギーを買うこともできない状況です。

日本は国土が小さく、標高差が激しい海に囲まれた島国という特徴があります。

この厳しい条件で炭素資源に頼らないクリーンな方法で電気や燃料を作るのは難しく、海に囲まれているので他国からエネルギーを買うこともできない状況です。

しかし水から作れる水素は日本のデメリットを逆手に取った資源になります。
水資源は日本が有する最強の資源ですからね。

つまり日本にとって最大の課題である「資源不足」に困らない最強の資源です。
現状でコスト面や製造方法に問題はありつつも、将来的には自国で生産できる資源として成長する可能性が高いです。

また水素を大量に輸送・貯蔵することができれば、水素は他国から輸入できるエネルギー資源という見方もできます。
デメリットを逆手にとって活用する方法がいくつも考えられており、今後の期待が膨らみます。

増え続ける補助金が実現への手助け

日本政府は水素エネルギーが低炭素社会の実現に必要な手段だと認めています。
そして水素にまつわる様々な分野の開発に関わる企業には補助金が出ているようです。

国からの補助金があるのは素晴らしい状況といえます。
補助金があれば一企業が開発支援を受けれるだけでなく、様々な企業が参入しやすくなり協力することで実現する可能性が高まります。

またその補助金は年々増加しています。
平成30年度には総額約450億円の補助金が支給されていました。(参照;資源エネルギー庁

それに対し令和4年度の水素エネルギーについて次のような予算案を発表しています。(参照:経済産業省

まだ予算案の段階なので確定ではありませんが、令和3年度が総額983億円であることを考えると補助金は約5年で2倍となっています。
今後も補助金が増え続ければ水素市場はさらに拡大し、より実現に近づいていくことが期待できます。


以上のことから水素エネルギーは低炭素社会の実現に必要な手段であり、将来的に新たなエネルギー資源になっていると考えました。

言い換えれば、先行して水素エネルギーの開発に携わっている川崎重工の長期的な将来性は期待できると結論付けました。

まとめ

今回は川崎重工の中期的・長期的な将来性を紹介いたしました。

川崎重工の会社紹介で理系:文系=7:3、男女比9:1というのを目にしたのをきっかけで紹介しようと思いました。
同じ理系男子として紹介せずにはいられなかったです、、

ちなみに売上高は国内:海外=40:60なので、海外出張・駐在になる可能性もあります。
英語ができれば面接でも有利になると思うので、川崎重工に入社したい方は今のうちから準備しておきましょう。

もし他に気になる企業・紹介してほしい企業があればお問い合わせページからお願いします!

それではまた次回に!

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