【就活生必見】企業の将来性を考える際に重要な5つのポイントとその使い方!

少子化の影響により就活生が企業を選ぶ時代。

しかし同時に就活生の悩みが浮き彫りになっています。
「給料が上がり続ける企業で働きたい!」
「今後成長していく企業に就職したいけど、どの企業がいいのか自分じゃわからない!」

そこで本記事では悩める就活生に企業の将来性を評価する際に重要な5つのポイントを紹介します。
今回の記事を読めば企業の将来性を評価する際に大切なポイントを把握できるようになります。

それではさっそく解説していきましょう!

目次

企業の将来性とは

そもそも将来性とは「成長の見込み」を指します。
つまり「将来性がある」ということは成長の見込みがあることを意味します。

「企業の将来性」も意味は同じでその企業が成長する見込みを表しています。

しかし企業に対して使う将来性は「短期的」「中期的」「長期的」の3期間で分けられるのが主な違いでしょう。

まずはそれぞれの期間を押さえておきましょう。

  • 短期的な将来性・・・1年以内の成長見込み
  • 中期的な将来性・・・3~5年間の成長見込み
  • 長期的な将来性・・・5~10~20年間の成長見込み
  • 短期的な将来性…1年以内の将来性
  • 中期的な将来性…3~5年間の将来性
  • 長期的な将来性…5~20年間の将来性

短期的が1年以内というのは会計ルールで定められています。
中期的・長期的は企業によって多少差異はあるものの、上記の意味で広く使われています。

就活生が考えるべき将来性とは

中長期的な将来性に注目しよう

5つのポイントを理解する前にそれらの役割について理解しておきましょう。

そもそも就活生が考えるべき将来性とは何でしょうか?

さきほど将来性は「短期的」「中期的」「長期的」で3つに分類されていると紹介しました。
しかし就活生に短期的な将来性に関してはほぼ無関係でしょう。

短期的な将来性がある企業に入ったとしても入社する前に成長しきった後、自分が入社後に衰退しては意味がないですからね。

つまり入社後の自分自身に影響する中期的・長期的な将来性を就活生は考えるべきなのです。

5つのポイントを意識してみよう

しかし企業分析を始めたての就活生にとって、企業の中長期的な将来性を評価するのは非常に困難です。
評価する人によって将来性を評価する正確さは大きく異なるといえます。

そこで役立つのが今回紹介する5つのポイントです。
この5つのポイントを基準とすることで企業の将来性を正しく判断できるようになります。

最後に5つのポイントのイメージを図とともにつかんでおきましょう。

5つのポイントの役割
5つのポイントの役割(タップで拡大)

上図のオレンジ部分が今回紹介する5つのポイントになります。
詳細な図の説明については別記事にて紹介いたします。

それでは早速5つのポイントについて解説していきましょう!

重要な5つのポイントを紹介

将来性を考える際に重要なポイントは「事業内容」「事業業績」「経済・流行」「その他要因」「経営戦略」の5点になります。

1つのポイントを押さえただけでは将来性を正しく判断することはできません。
5つのポイント全てをしっかりと理解しておきましょう。

一度当記事を読んでいただき、リンク先の記事を見て理解を深めていただければと思います。
それではさっそく見ていきましょう。

事業内容

事業内容は「その企業が何をしているのか」を把握するポイントです。

当然ですが、その企業が提供する製品やサービスがわからなければ将来性を考えることはできません
どんなに成長が期待できる分野の企業だとしても、それを知らなければ評価はできないですからね。

そのためまず将来性を考える前にその企業がどんな分野に参入しているのかを調べる必要があります。

このポイントは就活生の基本としてしっかりと押さえておきましょう。

事業業績

事業業績は「企業の競争力・成長力」を把握するポイントです。

そのためには「売上高」と「利益率」を同業他社と比較する必要があります。
この2項目について説明しましょう。

競争力を表す売上高

まず売上高について見ていきましょう。
売上高は全く同じ事業を展開する企業間でも大きく異なります

今回はかせいソーダを提供する「AGC」と「大阪ソーダ」の事業を比較して考えていきます。

左がAGC、右が大阪ソーダの業績を表した図になります。

上がAGC、下が大阪ソーダの業績を表しています。

上図の青い棒グラフに注目してください
左のAGCは売上高が約6000億円の事業に対し、右の大阪ソーダは約220億円の事業です。

上図の青い棒グラフに注目してください
AGCは売上高が約6000億円の事業に対し
大阪ソーダは約220億円の事業です。

どちらの方が同じ市場で勝ち残っていけると思いますか?
もちろんAGCの方が事業規模が大きく、顧客数も多いので競争力が高いですよね。

ちなみにこの項目に関しては「市場シェア」からも判断することができます。
シェアが1番高いということはそれだけ多く生産・販売しているからです。

さて上記のように類似した事業内容でも企業によって競争力が異なることがわかりました。

成長力に結び付く利益率

次に利益率も押さえておきましょう。
利益率は売上高に対する営業利益の比率(営業利益率)で調べるのをオススメします。

営業利益・・・本業で計上した売上高から原価、販管費(人件費、広告費など)を差し引いた金額

営業利益率は企業がそのビジネスでどれくらい効率よく稼げているのかを示す重要な指標です。

実際に上図を見ると大阪ソーダは約11%程度であるのに対してAGCは約22%もあります。
つまりAGCの方が良いビジネスモデルを築けているということです。

特に利益に関しては企業の投資資金を集める手段の一つです。利益率が高ければ高いほど事業投資が可能になり企業の成長につながります。

以上のことから、【事業業績】を把握すれば企業の競争力・成長力が把握できることがわかりました。

事業業績の分析がよくわからなかった方は今回紹介したAGC・大阪ソーダの記事を参考にしてみてください。

経済・流行

経済・流行は「事業内容・業績」にどのような影響を及ぼすかを評価するポイントです。
それぞれについて簡単に説明します。

企業業績に影響する行政

企業の業績は日本・海外の政治に大きく影響を受けます
これに関してはいい影響も悪い影響も起こりえます。

悪い影響例には格安SIMがあります。
例えば2020年総務省からの通達により携帯電話サービスは格安プランの提供を余儀なくされました。
実際に携帯電話サービス大手のソフトバンクやNTTドコモなどは業績の低迷に陥りました。

逆に良い影響例もあります。
2020年度文部科学省により「GIGAスクール構想」が実施されました。
政府が教育機関に1人1台タブレット端末を配布する政策です。

この影響を受け、ネットセキュリティ大手の「デジタルアーツHD」の2021年度の業績は急激に上昇しました。

実際に2020年度から2021年度にかけて売上高が2000億円も上昇していることがわかります。

このように社会経済に対する政府・政策の影響は企業業績に大きな影響を及ぼします。
時事に詳しい就活生が就活に有利なのはこのような背景があるからです。

この記事を良い機会として時事問題に目を向けてみるとよいかもしれません。

「政治状況」についてわからなかった方は実際の記事をご確認ください。

投資金を集めやすくなる社会トレンド

社会トレンドも企業の業績に大きな影響を及ぼします。

例えば2021年の社会トレンドは「メタバース」でした。
メタバースは仮想空間でショッピングや展示会を行ったり、NFTと連動してゲーム内のお金を現実世界で使用できるようにするなど人々の興味関心が集まりました。

このような社会トレンドには多くの企業が参入し、多額の投資資金がつぎ込まれる可能性が高いです。
実際世界を代表する米企業「Microsoft」が約8兆円でゲーム会社を買収したのは大きな話題となりました。(参照:マイクロソフトの買収目的

当然ですが投資資金が集まるほど企業買収や設備、技術開発にお金を使うことができるので成長スピードは驚異的なものになります。

したがって社会トレンドの分野は企業に好影響を与える可能性が高いというわけです。

社会トレンドをとらえた化学系企業「カネカ」の記事を参考にしてみてください。

一時的な悪影響をもたらす要因

その他というのは不祥事や大規模事故などの内的要因を指します。

例えば2016年に起きた東芝の不正会計です。
(詳細については「東芝の不正会計はなぜ起こったのか」立命館大名誉教授著)

これにより東芝の株価は数日で約半分になるほど暴落しました。
株式会社において株価の下落は自社資産の減少を指します。

資産が少なくなれば、開発や設備投資にお金を使いにくくなるので成長力の低下を意味します。
また大規模事故などの偶発的な事象も同様です。

これらが起きる可能性は低いですが、一度起きてしまうと会社に悪影響を与える要因になります。

経営戦略

企業の将来を見通す材料

経営戦略は「企業の将来の見通し」を表すものです。

5つのポイントの中でも企業の将来性に最も影響があるポイントなのは間違いありません。
我々が「この事業は成長する!」と考えても、その企業が投資しなければ成長はあり得ないですからね。

しかし就活生にとって経営戦略を見るのはかなりハードルが高いことだと思います。
普段全く目にしないものを見るわけですからね。

そのため今回は「これさえ押さえとけば大丈夫!」という2点を紹介します。

  • その企業が考える成長事業を把握
  • 成長事業に対する具体的な投資戦略(設備や技術開発への投資など)
  • その企業が考える成長事業を把握
  • 成長事業に対する具体的な投資戦略
    (設備や技術開発への投資など)

以上の2つが就活生が最低限押さえるべき項目です。
これらの項目について順を追って解説します。

どの事業に成長の可能性があるのか

まずは「成長事業を把握すること」です。

企業の成長事業を把握することは「どんな製品・サービスが求められているのか」「企業が考える将来像」を捉えることにつながります。

実際に「DIC株式会社」が2022年2月に発表した経営戦略(参照元:「DIC 長期経営計画」)を見てみましょう。

成長事業の把握
成長事業の把握(タップで拡大)

上図から分かるようにDICは「サステイナブル事業」と「ヘルスケア事業」を成長の主軸事業として設定しています。
このことからDICは健康・医療関連のサービスとSDGsに基づいた環境に優しい製品の提供がこれから求められると考えているようですね。

どの分野にどれだけ投資をするのか

続いて成長事業に対して「どのような投資戦略を行うのか」です。

ここではどんな分野に投資するのかを把握することが重要です。
「○○事業の□□分野に投資する」といった詳細な内容を把握する必要があります。

そうすることでより具体的な企業の将来像を予想することができます。

こちらもDICを例に見てみましょう。
下図のサステイナブルとヘルスケアの項目に注目してください。

具体的な投資戦略
具体的な投資戦略(タップで拡大)

まずはじめに約2300億円を投資して企業の成長を図ろうとしていることがわかります。

またその投資はサステイナブル事業においては自動車向けの電池事業の設立、ヘルスケア事業では健康食品や化粧品の開発・販売などに当てることがわかりました。

2つのポイントをまとめて分析しよう

ここまでくれば情報がかなりそろってきました。
後は抜き出した情報を分析するだけです。

例えば自動車向けの電池事業になぜ進出するのかを考えてみましょう。
必ず企業の行動には「目的」があるはずです。

自動車で言えば話題になっているのは「電気自動車(EV車)」ですよね。
世界的なSDGsに対する意識向上に伴い、ガソリン車から電気自動車への転換が話題になっています。

つまり今後大きな市場が開かれるはずのEV車市場への参入を目的としていることがわかりました。
これをヘルスケア事業にも行えばよいわけです。

以上のように、「成長事業を把握する」「投資戦略の内容」からその企業がどのような将来を描いているかを把握することができました。

「経営戦略」のポイントがわかりにくかった方は参考にした記事をご確認ください。

まとめ

今回は将来性を評価するうえで就活生が押さえるべき5つのポイントについて紹介しました。
最後にもう一度おさらいしておきましょう。

  • 事業内容・・・その企業の提供する製品・サービスを把握する
  • 事業業績・・・その企業の成長軸となる事業を「売上高」「利益率」から分類する
  • 経済・流行・・・企業の業績に関わる政治・トレンドを把握する
  • その他・・・企業内での問題・事故等を調べる
  • 経営戦略・・・その企業の「どの事業に」「どのような戦略で」を押さえる
  • 事業内容 … 企業の提供する製品
           サービスを把握する
  • 事業業績 … 企業の成長軸となる事業を
         「売上高」「利益率」から
          分類する
  • 経済流行 … 企業の業績に関わる政治
           トレンドを把握する
  • その他 … 企業内での問題・事故等を調
          べる
  • 経営戦略 「どの事業に」「どのような
           戦略で」を押さえる

この5つさえ押さえておけばほぼすべての企業の将来性を考えることができます。
もし1回で理解できなかった方は実際の記事を見ながら読んでいただければ理解が深まるかと思います。

また今後は「就活生が考えるべき将来性」と「将来性の考え方」について解説した記事も投稿する予定です。

他にご意見・要望があればお問い合わせページからお願いします。

それではまた次回に!

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