結論
- 明確な将来性があり健全な経営体制であることから安定性は非常に高い
- メタバース・NFTと融合に伴う新規分野の開拓により成長性は極めて高い
- なによりもゲームへの情熱を持つことが大切
事業内容
さっそくスクウェア・エニックス・ホールディングス(スクエニHD)の事業内容を簡単に見ていきましょう。
このブログでも初めて扱うメタバースに力を入れているゲーム企業です。
メタバースって何!?メタバースでどんなことができるのか?
メタバースはオンライン上に3DCGで構築された仮想空間を意味する
仮想空間で買い物や物販などを行える(「どうぶつの森」の住人のようなイメージ)
最近では米企業最大手「Facebook」が「Meta」に商号変更を行ったのが話題になりました。
他にも米最大手「Microsoft」が米大手ゲーム会社「Activison Blizzard」を7.9兆円で買収し、メタバース分野に力を入れていく姿勢を示しました。
7.9兆円で買えない日本企業は皆さんがCMでよく目にする企業くらいで、ほぼすべての日本企業が買収可能な金額です。
このことから世界企業からメタバース分野に多額の投資が行われていることがわかります。
仮想空間での買い物が現実になりそうなイメージは多くの方が持たれているようにそう遠くない未来で起こりえるでしょう。
メタバース分野は今後間違いなく成長するので必ず押さえておきたいです。
このブログではゲーム事業を展開するサイバーエージェントについても記事を出しているので是非!
前置きが長くなりましたが、後ほどスクエニHDのメタバース分野について解説いたします。
まずはスクエニHDの売り上げ・営業利益構成比について見ていきましょう。
スクエニHDの事業ごとの売り上げ、利益構成比
ではスクエニHDの主な事業について売り上げ・利益構成比をみていきましょう。
スクエニHDといえば「ドラクエ」「FF」などのゲームシリーズが有名ですが、そのゲーム事業を有するデジタルエンタテインメント事業が圧倒的な売り上げ・営業利益の割合を占めています。
ちなみにアミューズメント事業は今期は営業利益が赤字であったため、売り上げ構成比のみになっています。
ではスクエニHDの「デジタルエンタテインメント事業」、「アミューズメント事業」、「出版事業」について見ていきましょう。
スクエニHDの事業内容・業績
デジタルエンタテインメント事業
デジタルエンタテインメント事業は3つのゲーム事業を展開しています。
- HDゲーム・・・PlayStationやニンテンドースイッチ向けにゲームを提供する事業
- MMO・・・オンライン上で複数のプレイヤーと遊べるゲームを提供する事業
- スマホ・PC向け・・・IOSやアンドロイド、PC向けにゲームを提供する事業
これらに共通しているのはスクエニHDで開発されたゲームをもとに複数のタイトルを提供しているところです。
言い換えると「ドラクエ」や「ff」はHDゲーム、MMO、スマホ向けにそれぞれ別タイトル(内容が異なる)で提供されています。
そのため新規ゲームを開発するよりも制作コスト・期間がかからないので、他社よりも多くのタイトルを提供できる利点があります。
それに対し同じシリーズが続いて飽きてしまうという欠点があります。
しかしスクエニHDは長年「ドラクエ」「ff」シリーズを提供し大きな反響を得ている様子を見ると、今までのゲームタイトルが愛されつつ、高い技術力でプレイヤーを魅了しているように思います。
では次にデジタルエンタテインメント事業の業績について見ていきましょう。
前年度と比べ売上高39.9%、営業利益42.9%と飛躍的な成長を遂げました。
好調だった要因は二つあります。
一つ目は新型コロナウイルスによる巣ごもり需要です。
2020年4月から「緊急事態宣言」により在宅を余儀なくされ、暇を持て余した多くの方々がゲームを買ったことでしょう。
実際にプレイステーションやニンテンドースイッチは入荷と同時に売り切れ、抽選まで行われていたのでゲーム事業を展開する企業は全般的に好調だったといえます。
2つ目は大型タイトルの提供です。
「ff」「ドラクエ」を中心に6つの大型タイトルを提供し、順調に利益を上げたようです。
しかも日本の販売本数よりも海外の方が圧倒的に多かったことがわかりました。
日本が630万本なのに対し、欧米は3859万本(前年度2446万本)と大幅な成長です。
日本国民の3人に1人が持っている販売数になります。
このことからスクエニHDは日本だけでなく、世界中の国々から広く支持されていることがわかります。
デジタルエンタテインメント事業の総合評価はこちら!
アミューズメント事業
アミューズメント事業はゲームセンターの経営や機器の販売や開発、レンタルなどを行う事業です。
全国各地に「タイトーステーション」が展開しており、最近では電子マネー決済の導入(UFOキャッチャーが電子マネーでできる)などを行って業務の効率化を行っています。
ほかにもフランチャイズ事業やゲーム機器のレンタルを行っています。
フランチャイズ事業とは?ほかに導入している企業はあるの?
対価を払う代わりにお店の名前やノウハウを使って営業するビジネスモデルのこと
例えばコンビニ業界(セブンイレブン、ローソン、など)ほぼ全てがフランチャイズ経営
それではアミューズメント事業の業績について見ていきましょう。
前年度と比べ売上高24.8%減、営業利益も赤字となりました。
新型コロナウイルスの影響を非常に大きく受けた事業であり、かなり厳しい業績となりました。
私はアミューズメント事業に関して今後厳しい事業であると考えています。
今後スクエニHDは仮想空間におけるゲームやアイテムの売買が行えるメタバースに力を入れていくと説明しました。
つまり人々は「現実世界」におけるゲーム環境から「仮想空間」におけるゲームに移行していきます。
そのためメタバース事業とアミューズメント事業が同時に成長していくのはかなり厳しいと考えられます。
アミューズメント事業の売り上げは今後減少傾向になると思います。
アミューズメント事業の総合評価はこちら!
出版事業
出版事業は個人的に注目している成長事業になります。
まずは出版事業の4つの事業を見ていきましょう。
- ウェブマガジン・・・コミック・ライトノベルをウェブ配信で定期刊行する事業
- デジタルコミック・・・スマホ向けアプリ(マンガUPなど)にデジタルコミックを提供する事業
- 企画・制作事業・・・コミックを原作とするアニメや映画・舞台化を行う事業
- 書籍関連・・・ゲーム攻略本の出版を行う事業
特別変わった事業があるわけではないですが、現在の業績が順調に増加しています。
それでは出版事業の業績について見ていきましょう。
ご覧のように売上高・営業利益ともに驚異的なスピードで増加しています。
ここで注目したいのは圧倒的な利益率になります。
一般的に利益率が20%を超える事業は他企業が参入しにくいビジネスモデルであり非常に安定している
出版事業の利益率は年々増加しており、素晴らしいビジネスモデルを築いている証拠でもあります。
しかし私が注目しているのはそこだけではありません。
私が注目しているのは以下の2つのポイントです。
- デジタル化による潜在顧客の獲得増加
- メタバース分野とのシナジー効果の可能性大
1つ目のポイントから見ていきましょう。
そもそも潜在顧客とは商品やサービスを知らないから利用していない消費者を指します。
近年は急速なデジタル化により、大半の一般消費者が携帯電話からスマホへと移り変わりました。
従来のマンガやコミックは紙媒体でしたが、スマホの登場によりデジタル販売が主流になっています。
今までは紙媒体のマンガを読んでいない方でも、無料のマンガアプリなどを通してマンガを読み始めた方も多いのではないでしょうか?
非常に便利なスマホによりデジタルならスキマ時間に読みたいと思う方は急激に増加したはずです。
そのような潜在的な顧客を順調に獲得しているのが出版事業だと私は考えています。
2つ目はメタバース分野とのシナジー効果です。
個人的にはデジタルコミックはメタバースと組み合わせることができると考えています。
例えば読み終わったマンガを他者に売ったり、他者のマンガを買ったりできるような仕組みができれば、より多くの方々がマンガを読もうと思うようになると考えています。
まだメタバースの技術が確立されておらず、不確定な要素が多いですが可能性はかなり高いと私は考えています。
出版事業の総合評価はこちら!
企業評価
ここではスクエニHDの「安定性」と「成長性」について実際のデータを基に分析します。
安定性
高い自己資本比率と明確な将来性があることから99点/100点
まずはスクエニHDの自己資本比率について見ていきましょう。
2018年度から2021年度までの自己資本比率の推移です。
そもそも指標として理想の企業は70%以上、倒産しにくい企業は30~40%以上といわれています。
スクエニHDの自己資本比率は驚くほど高く、非常に健全な経営体制であることがわかります。
それではスクエニHDの全体業績について見ていきましょう。
スクエニHDは前年度と比べ売上高27.6%増、営業利益44.2%増となりました。
デジタルエンタテインメント事業が全体の約80%の売り上げ・利益を占めています。
そのためスクエニHDの業績は必然的にデジタルエンタテインメント事業の業績に左右されやすいです。
また前述のとおり、デジタルエンタテインメント事業は「ドラクエ」、「ff」は別タイトルで多分野に提供されており、シリーズ化されています。
そのため他社よりも開発コストが少なく短期間で新規タイトルを輩出できるのに対し、マンネリ化するとユーザーが離れてしまいます。
今までのスクエニHDの業績や各タイトルの販売実績を見ると、ユーザーが増えていることから長年の信頼と高い技術力・ユーザーのニーズ分析力があると考えられます。
ゲームでお金が稼げる夢のような話!
それだけでなく仮想通貨を用いてゲームのアイテムを売買する計画(詳しくは後述)が進んでおり、実現すれば間違いなくユーザーは増加するでしょう。
このことから今後の業績も安定する可能性が高いです。
スクエニHDの安定性についての総合評価はこちら!
以上のことをふまえ、非常に高い自己資本比率と明確な将来性があることから99点といたしました。
成長性
NFT・メタバースの融合による新規分野の開拓に伴う需要増加から100点/100点
スクエニHDの成長性を語る上で外せないのがメタバースへの参入です。
このメタバースの分野でカギを握るのがNFT技術との融合です。
NFT技術って何?どんなことができるの?
NFTはブロックチェーン技術を応用して偽造ができない保有証明書を作れるもの
NFTを用いてデジタルアートやゲーム内アイテムを生成できる
ブロックチェーン技術とは多くの暗号技術を一本の鎖にまとめるようなものです。
つまり暗号キーがたくさん入っているので改ざんが非常に難しく、「この世で1つしか存在しえないもの」となるわけです。
つまりブロックチェーン技術を使ってゲームアイテムが作れれば「そのアイテムは1つしかない」ので、どこへ出回っても誰のものかわかるというわけです。
ではメタバースとNFTが融合するとどのようなことができるか具体例を挙げてみましょう。
- アバター衣装やゲーム内アイテムの売買
- メタバース上の土地・物件(仮想空間の物件)の売買
- 仮想空間におけるデジタルアートのショールームやアートギャラリー
どうでしょうか?
誰もが考えるだけでも楽しいと思えるようなこの分野が今世界で最も注目されています。
さて実際にスクエニHDの経営戦略について見ていきましょう。
なんともうすでにNFTを自社のゲームと組み合わせてリリースしていました。
実験段階だったということで、今後は本格的な事業にすると記述されています。
また今後はブロックチェーンゲームへの本格参入も検討しており、いわゆるゲームアイテムの売買などの技術に投資をしていくと掲載されています。
さらにこれがメタバースと組み合わされば先ほど挙げた具体例の実現も近い日となるでしょう。
今まで沈黙を貫いてきたグーグルのCEOも2022/1/26にTwitterでメタバース・NFTへの興味関心を示していることからもはや世界的に成長していく分野であることは間違いありません。
あとはスクエニHDが正しく市場のニーズを読み、適切なタイミングと見合った技術でゲームを制作できれば成長は間違いないでしょう。
スクエニHDの成長性の総合評価はこちら!
以上のことから、メタバースとNFT、世界の動向を考慮し100点満点といたしました。
採用情報まとめ
スクエニHDとしての採用は行っておらず、各事業会社が個別で採用を行っています。
今回紹介するのはデジタルエンタテインメント事業の「スクウェア・エニックス」の採用情報です。
「スクウェア・エニックス」の採用情報における重要ポイントを4つ抜き出しました。
- エンタテインメントへの強い情熱・こだわりを重要視
- キャリアプランよりも実際の経験を通して成長
- 勤務地は東京or大阪の2択
- 社宅や寮がない代わりに基本給がやや高めに設定されている
個人的に気になったのは「水曜日の19時帰宅デー」をわざわざサイトに掲載していることです。
ゲーム業界といえば勤務時間が他の業種より長いイメージがあると思います。
あくまで私の推測ですが、「スクウェア・エニックス」も勤務時間は長めなのかなと思います。
だからこそエンタテインメントへ強い情熱やこだわりを持った人を募集しているし、いわゆる「No残業day」を推進しているのかと考えています。
どちらにせよ中途半端な志望動機やゲーム事業への熱意がない方が落とされやすいのは間違いありません。
どうしてもスクウェア・エニックスで働きたいという意思はしっかりと見せた方がよいでしょう。
さらにゲームへの思いだけではなく、プラスワンとしてもう一つ志望理由に違った側面が盛り込めるとさらに良いと思います。
ゲーム事業を有する企業にありがちな志望理由ばかり集まってしまうからです。
他者との違いをアピールできれば合格は近づくと思います。
スクウェア・エニックスの採用情報はこちら!
最後に
今回はスクウェア・エニックス・ホールディングスについて紹介しました。
正直いろいろ書きたかったので、文章が長くなってしまい申し訳ないです。
私が一番評価しているのはNFTゲームを21年10月にはリリースしていたことですね。
5月の決算段階ではあくまで二次経営戦略としていたのですが、気づいたら主軸となっていました。
やはり前々から目をつけ、水面下で準備していたのかもしれません。
大企業の判断能力と実行スピードには目を見張るものがありますね。
それではまた次回に!
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