ロームはSiCで成長できるのか、業績はどこまで回復しているのか。技術の強みと事業ごとの利益を知ると、就職・転職で応募を検討するか、先に他社と比べるかを決めやすくなります。
結論|パワー・アナログ半導体に強み、利益の回復は途上
将来性の結論:ロームは、パワー・アナログ半導体の成長性を重視する人に向いていますが、安定した利益を生むには、SiCを含む半導体素子事業の立て直しが課題です。
| 判断項目 | 評価 | 要点 |
|---|---|---|
| 収益基盤 | 回復途上 | LSIが利益を支えていますが、半導体素子の赤字が全社の利益を押し下げています。 |
| 成長分野 | 採用が進む | 車載SiCやサーバー向け製品の販売が伸びています。SiCは黒字化への道筋が課題です。 |
| 確認点 | 収益性 | 需要回復に加え、構造改革と費用減少の効果が出ています。製品の販売と利益の両方が伸びるかが焦点です。 |
事業内容|電力の制御と信号の処理を支える半導体メーカー
ロームは、自動車や産業機器、家電などに使う半導体・電子部品を作る会社です。電力を無駄なく使うパワー半導体と、電源や信号を扱うアナログ半導体が事業の中心にあります。
- LSI:アナログIC、ロジック、メモリなど。電源の制御や機器の動作を担う集積回路です。
- 半導体素子:SiC・Siのパワーデバイス、トランジスタ、ダイオードなど。SiCは電力変換の損失を抑える材料で、電動車などに使われます。
- モジュール・その他:プリントヘッド、光関連のモジュール、抵抗器なども扱っています。
出典:ロームのものづくり、2025年3月期決算短信(事業区分)。
ロームの将来性を見る5つのポイント
- 収益基盤:LSIの利益で、半導体素子の赤字をどこまで補えているか。
- 利益成長:売上の伸びと費用の減少が、それぞれ利益にどう効いているか。
- 成長分野の収益化:車載SiCやサーバー向け製品の採用が、利益につながっているか。
- 投資・事業整理:増やした設備を生かしながら、拠点や製品の見直しを進められるか。
- 中期計画の進捗:利益率の目標に対し、実績がどの程度近づいているか。
業績|LSIが利益を支え、半導体素子の立て直しが課題
直近の利益の柱はLSIです。半導体素子は売上が回復しているものの、赤字が残っています。
| 事業 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| LSI | 売上:2,072.2利益:212.7 | 売上:2,038.3利益:−7.7 | 売上:2,183.9利益:245.4 |
| 半導体素子 | 売上:2,019.5利益:129.6 | 売上:1,870.5利益:−459.0 | 売上:2,052.6利益:−227.0 |
| モジュール | 売上:329.1利益:20.1 | 売上:325.6利益:26.9 | 売上:315.9利益:35.2 |
| その他 | 売上:257.0利益:21.5 | 売上:250.2利益:25.2 | 売上:259.0利益:41.0 |
| 全社調整 | 売上:—利益:49.3 | 売上:—利益:13.9 | 売上:—利益:14.1 |
| 連結合計 | 売上:4,677.8利益:433.3 | 売上:4,484.7利益:−400.6 | 売上:4,811.5利益:108.6 |
2026年3月期はLSIの黒字回復と半導体素子の赤字縮小で、全社の営業利益が黒字に戻りました。ただ、2年前の利益水準には届いていません。
売上は外部顧客向け、利益は営業利益ベースのセグメント損益です。全社調整には退職給付費用などの決算調整を含み、連結合計の利益は営業利益を示します。その他は抵抗器事業等。原資料の百万円を億円に換算・四捨五入しているため、内訳と合計が一致しない場合があります。
2026年3月期は、設備の費用を各年に配分する方法を主に定率法から定額法へ変更しました。従来の方法に比べて営業利益を約155.5億円押し上げており、公表営業利益の約108.6億円より大きな影響です。販売が伸びたことだけで黒字に戻ったとはいえません。
また、営業黒字でも、最終損益は約1,584.2億円の赤字でした。減損損失約1,936億円などが影響しています。減損は、設備などの資産から当初見込んだ利益を回収しにくくなり、帳簿上の価値を引き下げる処理です。減損額の現金が同時に流出するわけではありません。営業活動では894.5億円の現金を生んだ一方、設備取得には1,109.7億円を使っており、事業で得る現金と投資額のバランスも気になるところです。
出典:2025年3月期決算短信、2026年3月期決算短信(減価償却方法の変更・損益・セグメント情報)。
中期計画|SiCの収益化と構造改革で利益率を高める
中期計画「MOVING FORWARD to 2028」の中心は、会社の規模を広げる前に、利益を生みやすい体制へ変えることです。2028年度(2029年3月期)に売上高5,000億円以上、営業利益率20%以上を目指しています。
| 取り組み | 進み具合と残る課題 |
|---|---|
| 伸ばす分野 | 車載SiCとサーバー向けの電源関連製品。会社は2026年5月時点で、SiC事業の2028年度黒字化を目指しています。 |
| 立て直す分野 | 生産拠点・製品構成の見直し、価格の適正化を進めています。材料を金から銅へ置き換える取り組みも、原価の改善策です。 |
| 最新決算 | 2027年3月期1Qは売上1,357.4億円、営業利益96.4億円。前年同期より改善しましたが、半導体素子は9.5億円の赤字です。 |
| 次の節目 | 会社の2027年3月期予想は営業利益300億円。売上だけでなく、半導体素子の利益と全社利益率が回復するかが大切です。 |
最新四半期の増益には、販売の伸びに加え、前期の減損後に減価償却費が減った効果も含まれます。前章の「償却方法の変更」とは別の要因です。SiCを含む半導体素子全体の赤字が縮んでも、それだけでSiC単独が黒字化したとは断定できません。
出典:中期経営計画、2026年5月13日決算説明会Q&A、2027年3月期第1四半期決算短信。中計は2028年度の目標、通期予想は2027年3月期の見通しです。
SiCは採用が進んでも、利益の積み上げはこれから
2026年9月17日には、BMWの次世代EV「Neue Klasse」へのSiCパワーデバイス採用を発表しました。自動車で使われる実績は強みですが、採用されたことと、設備投資を回収できることは別です。顧客の生産台数や販売価格、製造コストによって、得られる利益は変わります。
会社は5月の説明会で、サーバー向け電源製品を複数の顧客へ広げる方針も示しています。車載以外の用途が育てば成長の支えになりますが、AI市場の拡大がそのままローム全体の高収益につながると考えるのは早いでしょう。
出典:BMW向けSiC採用の公式発表、決算説明会Q&A(サーバー向け製品)。
再編の動きと、応募先の条件は分けて考える
2026年3月27日には、東芝デバイス&ストレージの半導体事業、三菱電機のパワーデバイス事業との統合協議を始める基本合意が発表されました。この発表は統合完了を意味しません。就職・転職では、実際に応募する法人、担当製品、勤務地を、その時点の募集情報で確かめることが大切です。
出典:2026年3月27日の基本合意発表。ここで扱うのは同日の発表内容です。
将来性評価|5つのポイントで見るロームの強みと注意点
以下は、公式資料をもとにした当サイトの評価です。
| 評価軸 | 評価 | 判断理由 | 今後の確認点 |
|---|---|---|---|
| 収益基盤 | 回復途上 | LSIが黒字を支えていますが、半導体素子の赤字が残り、事業全体の収益性には差があります。 | LSIの利益が続くか、半導体素子も黒字へ近づくか。 |
| 利益成長 | 改善 | 営業利益は回復しています。ただし、費用計上の変化も増益を支えています。 | 販売量・製品構成の改善が利益率を押し上げるか。 |
| 成長分野の収益化 | 途上 | 車載SiCに採用実績があり、サーバー向けも伸びていますが、SiCの黒字化は会社目標の段階です。 | SiCの利益化と、車載以外の用途の拡大。 |
| 投資・事業整理 | 要改善 | 大型減損は過去の投資の難しさを示しています。拠点・材料・製品の見直しが進行中です。 | 設備を稼働させて利益を増やせるか、改革の効果が続くか。 |
| 中期計画の進捗 | 隔たりあり | 直近通期の営業利益率は2.3%で、20%以上という中計目標とは大きな差があります。 | 通期計画の達成と、2028年度に向けた利益率の改善。 |
パワー・アナログ半導体の中長期の成長性を重視し、業績回復の途中にある点も踏まえて企業を選びたい人。
すでに高い利益率を保っていることや、事業ごとの収益の安定性を重視する人。主力製品、顧客市場、需要が落ちた年の利益を他社と比べると、違いがはっきりします。
成長している会社でも、希望する経験を積めるかどうかは配属先によって変わります。同じロームでも、LSIの回路設計とSiCの製造では担当する技術が異なります。応募を考える段階では、職種や担当製品まで目を向けてみてください。
最終判断|ロームへの応募を検討するか、他社と比べるか
社員に仕事を聞くか、経験に合う求人を相談する
ロームのパワー・アナログ半導体に興味があるなら、次は自分が担当したい仕事を考えてみてください。学生は若手の経験談、転職者はこれまでの経験に合う求人が、応募を考える手がかりになります。
配属後の仕事を先輩に聞きたい学生へ
LSIの回路設計とSiCの製造では、使う知識も担当する仕事も異なります。「入社後はどんな業務から始めるのか」「研究で学んだことをどこで使うのか」を先輩に聞くと、募集要項だけでは想像しにくい仕事の中身が分かります。
ビズリーチ・キャンパスでは、登録後に所属企業や職種から先輩を探し、OB・OG訪問を依頼できます。関心のある仕事を経験した先輩に、若手の役割や配属後の学び方を聞いてみてください。
ロームの募集職種・応募資格は、公式の新卒募集要項で確認できます。
製品・工程の経験に合う求人を相談したい転職者へ
回路設計や製造工程の改善など、これまでの経験がどの求人に合うのか迷う人は、製造業に特化したメーカーズジョブで相談できます。担当した製品・工程、使ってきた設備や解析手法を伝えると、自分の経験と求人の仕事内容を比べやすくなります。
無料相談では勤務地や働き方の希望も伝えられます。ロームだけに絞らず、ほかのメーカーも含めて経験を生かせる応募先を探したい人に向いています。
ロームの現在の募集職種は、公式のキャリア採用情報で確認できます。
事業を自分で比べるか、研究に合う企業を探す
ロームの業績が回復途上にあることが気になるなら、ほかの半導体関連メーカーの利益源も比べてみてください。デバイス、製造装置、検査装置では、収益を支える製品や需要の波が異なります。
半導体関連メーカーの将来性を比べる仕事内容や勤務地で比べたい人には、新卒向けの専攻・職種・勤務地比較、転職向けの経験・工程・条件比較もあります。
研究を生かせる応募先をもっと知りたい学生へ
ロームのような半導体メーカーに関心があっても、自分の研究を生かせる会社を企業名だけで探すのは難しいものです。大学院生・理系学生向けのアカリクなら、求人を探すだけでなく、研究内容やプロフィールを見た企業からスカウトを受け取ることもできます。
応募先を決める前から無料で利用できます。登録後は、研究で扱った材料やデバイス、実験・解析の手法などをプロフィールにまとめてみてください。求人情報や届いたスカウトの仕事内容と比べると、専門性を生かせそうな応募先を考えやすくなります。
主な公式資料
- 2025年3月期決算短信
- 2026年3月期決算短信
- 2027年3月期第1四半期決算短信
- 第68期有価証券報告書
- 中期経営計画 MOVING FORWARD to 2028
- 2026年5月13日決算説明会Q&A
- 新卒採用情報
- 採用FAQ
- サービスの機能・対象:ビズリーチ・キャンパス、アカリク、メーカーズジョブ(2026年10月4日確認)。

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