「AI需要で業績が伸びているけれど、この先も成長できるの?」と気になる方もいると思います。就職・転職先として考えるなら、何で稼いでいるかに加え、どんなときに業績が揺らぐ会社なのか把握しておきましょう。
結論|AI向けの検査装置で成長、大口顧客の投資に左右される
アドバンテストは、AI向け半導体の検査装置が売れ、利益も大きく伸びているため、成長性を重視する人に向いていますが、大口顧客の投資が減ると業績も影響を受けやすい会社です。
| 判断項目 | 評価 | 要点 |
|---|---|---|
| 収益基盤 | 強い | 主な稼ぎ頭は検査装置です。高性能な半導体向けの製品が売れ、会社全体の営業利益率も高まっています。 |
| 成長分野 | 進展 | AIや高性能メモリ向けの検査装置の販売が伸びています。会社は装置の性能を高めながら、生産能力も増やす方針です。 |
| 確認点 | 変動あり | AI投資の勢いが落ちると、装置の売れ行きも変わる可能性があります。増産した後も利益を保てるかが気になります。 |
事業内容|半導体を検査する装置と周辺サービス
アドバンテストが作っているのは、半導体が設計どおりに動くかを調べる検査装置です。半導体をたくさん作るほど、検査する数も増えます。また、半導体が高性能で複雑になると、検査装置やソフトウェアにも、それに対応する性能が求められます。
| 事業 | 主な製品・用途 |
|---|---|
| テストシステム | 計算などを行うSoCや、データを記憶するメモリを調べる装置です。半導体を運ぶ機器や接続部品、実際に使う環境に近い状態で検査する装置も扱っています。 |
| サービス他 | 装置の保守やサポート、検査に使う消耗品、ナノテクノロジー関連製品などを扱います。装置を販売した後も、顧客が使い続けられるよう支える仕事があります。 |
2026年3月期からの事業区分。出典:第84期有価証券報告書「事業の内容」。
アドバンテストの将来性を見る5つのポイント
- 収益基盤:主にどの事業で稼ぎ、半導体の売れ行きが変わったときにどれくらい影響を受けるか。
- 利益成長:売上高が増えるだけでなく、会社に残る利益も増えているか。
- 成長分野の収益化:AIや高性能メモリ向けの製品が、期待だけで終わらず実際に売れているか。
- 投資・事業整理:生産能力を増やしたり事業を見直したりした後に、利益を増やせるか。
- 中期計画の進捗:製品開発や生産体制づくりが進み、数年先の成長につながっているか。
業績|AI向けの検査装置が売れ、利益も大きく増えている
大きく利益を伸ばしているのは、テストシステム事業です。会社全体の営業利益率も上がっています。サービス他も黒字に戻りましたが、利益には販売状況に加え、一時的な損益も影響しています。
| 事業 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| テストシステム | 比較対象外※ | 売上高 6,828.2億円セグメント利益率 38.4% | 売上高 10,193.8億円セグメント利益率 50.9% |
| サービス他 | 比較対象外※ | 売上高 968.9億円セグメント利益率 −16.6% | 売上高 1,092.3億円セグメント利益率 8.0% |
| 連結合計 | 売上高 4,865.1億円営業利益率 16.8% | 売上高 7,797.1億円営業利益率 29.3% | 売上高 11,286.1億円営業利益率 44.2% |
表からは、主力の検査装置の売上高が伸び、売上高に対して残る利益の割合も上がったことが分かります。
※2026年3月期から事業区分が3つから2つに変わっています。2025年3月期は会社が新区分に直して公表した数値です。2024年3月期は旧区分のため、ここでは全社の業績だけを載せています。セグメント利益は株式報酬費用を引く前の数字で、全社費用等を含む連結営業利益とは異なります。
連結営業利益は2024年3月期816.3億円、2025年3月期2,281.6億円、2026年3月期4,991.2億円。2026年3月期は事業別利益合計から全社費用等239.5億円と株式報酬費用44.5億円を差し引いています。出典:2025年3月期決算短信、第84期有価証券報告書(注記6)。
2025年3月期には、資産の帳簿上の価値を引き下げたことによる約214億円の減損損失がありました。翌2026年3月期には、事業の一部を売却したことによる約25億円の利益が計上されています。利益が改善した理由を考えるときは、こうした一時的な損益と、製品販売やサービスで得た利益を分けて捉える必要があります。
中期計画MTP3|検査装置の性能を高め、生産能力を増やす
2024〜2026年度の第3期中期経営計画では、検査装置の性能を高めるだけでなく、周辺機器やソフトウェアも組み合わせ、顧客が効率よく検査できるようにする方針です。
| 取り組み | 会社の方針・現在地 |
|---|---|
| 伸ばす分野 | AIなどに使うSoCや高性能メモリの検査に加え、実際の使用環境に近い状態で検査するシステムレベルテストも伸ばす方針です。保守サービスや消耗品の販売にも力を入れています。 |
| 供給体制・投資 | 注文の増加に応えられるよう、生産能力を増やす時期を早めています。部材を確保し、顧客に予定どおり装置を届けられる体制をつくる方針です。 |
| 最新の進捗 | 2027年3月期第1四半期の売上高は3,675億円、営業利益は1,900億円。前年同期比でそれぞれ39.3%、53.3%増えています。 |
| 今後の焦点 | AI向けの注文が続くかに加え、増産が間に合うかも気になります。売れる製品の種類や利益率がどう変わるかにも、目を向けたいところです。 |
出典:中長期経営方針、第1四半期決算レビュー、2026年7月29日公表の業績予想。
中期計画の売上高目標8,350〜9,300億円、営業利益率33〜36%は、3年間の平均目標です。2026年3月期の数値はこの水準を上回っていますが、達成したかどうかは最終年度までの3年間の平均で決まります。
会社は2026年7月29日に、2027年3月期の予想を売上高1兆7,140億円、営業利益8,460億円へ引き上げました。推論用AI半導体の検査需要が、4月の予想よりも伸びると見込んでいるためです。ただし、これは通期の会社予想であり、確定した実績ではありません。
使われる装置が増えると、その後の保守や消耗品の販売も増えやすくなります。とはいえ、装置もサービスも半導体業界の顧客が相手です。異なる事業があるからといって、半導体の売れ行きが悪い時期にも影響を受けずに済むわけではありません。
将来性評価|5つのポイントで見るアドバンテストの強みと注意点
| 評価軸 | 評価 | 判断理由 | 今後の確認点 |
|---|---|---|---|
| 収益基盤 | 強い | 主力の検査装置で大きな利益を生み、会社全体の営業利益率も高まっています。 | 大口顧客が装置への投資を減らしたとき、利益をどこまで保てるか。 |
| 利益成長 | 伸長 | 売上高だけでなく、売上高に対して残る利益の割合も上がっています。 | AI向け装置の販売が落ち着いた後も、利益を伸ばせるか。 |
| 成長分野の収益化 | 進展 | AIや高性能メモリ向けの検査装置が実際に売れ、業績を押し上げています。 | 次の世代の半導体でも、検査装置を選んでもらえるか。 |
| 投資・事業整理 | 要確認 | 生産能力を増やす一方で、過去には買収した事業で減損損失を計上しています。 | 増産に必要な部材をそろえられるか。需要が減ったときに、増やした設備や固定費が重荷にならないか。 |
| 中期計画の進捗 | 順調 | 会社は計画が順調に進んでいると説明し、通期の業績予想も引き上げています。 | 最終年度を終えた時点で、3年間の平均目標を達成できるか。 |
AIや高性能半導体を支える事業に魅力を感じ、業績の波も踏まえたうえで、成長性を重視して会社を選びたい人です。
半導体の需要や大口顧客の投資に左右されにくい会社を選びたい人です。複数の業界に顧客を持つ会社と比べると、業績を左右する要因の違いを確認できます。
アドバンテストの強みは、AIへの期待だけでなく、検査装置の販売と利益が実際に伸びていることです。一方で、AI投資の勢いと、大口顧客の発注に左右されやすい点は気になります。
2026年3月期は、NVIDIAグループとTSMCが、それぞれ連結売上高の10%以上を占めています。こうした顧客が生産計画や装置を導入する時期を変えると、アドバンテストの業績にも影響が出やすくなります。
海外の顧客とも取引しているため、輸出規制や国際情勢、為替の変化も業績に影響する可能性があります。注文があっても、部材不足で装置を届けられなければ、売上の計上が遅れる可能性があります。
出典:第84期有価証券報告書(主要な顧客)、公式の事業等のリスク。
会社の将来性に魅力を感じたら、次は自分がどんな仕事をしたいかも考えたいところです。同じ会社でも、装置の開発と顧客先での技術支援では働き方が違います。募集内容や先輩の経験を知ると、希望する仕事ができそうか判断しやすくなります。
最終判断|アドバンテストへの応募を検討するか、他社と比べるか
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同じ半導体業界でも、検査装置を作る会社と半導体そのものを作る会社では、稼ぎ方や業績が変わる理由が違います。ほかの会社も並べて見ると、アドバンテストの強みや気になる点を比べやすくなります。
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- 2025年3月期決算短信
- 2026年3月期決算短信
- 第84期有価証券報告書兼事業報告書
- 中長期経営方針・第3期中期経営計画
- 2027年3月期第1四半期決算レビュー
- 2026年7月29日公表の業績予想
- 新卒募集要項
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