NTTデータグループは、国内の公共・金融・法人向けシステム、海外ITサービス、クラウド、データセンターなどを展開しています。DXや生成AIは追い風ですが、売上の増加だけでは将来性を判断できません。大型案件の採算、海外統合、データセンター投資、一時的な資産取引を分ける必要があります。本記事では、NTTグループが開示するグローバル・ソリューション事業の数値を軸に分析します。
- 短期:2025年度は営業収益5兆46億円、営業利益4,882億円へ拡大しました。
- 中期:国内大型案件の採算を守りながら、海外ITとデータセンターの利益率を改善できるかが焦点です。
- 長期:人員数に比例する個別受託から、AI・クラウド・共通アセットを使う継続収益型へ移れるかを見ます。
私は、顧客基盤と事業規模は強い一方、2025年度の利益増から一時要因を分けて判断すべき会社と評価します。
NTTデータを調べている人が最初に決めたいこと
この記事は企業の将来性を中心に分析します。就活生と転職者では、業績確認後に必要な情報が異なるため、自分の目的に近い入口を確認してください。
3年業績と国内・海外の収益構造を確認します。
業績分析を見る業績と将来性からおすすめ領域を考えます。
就活生向け評価を見る担当業界、工程、働き方の確認点を整理します。
転職者向け確認点を見るNTTデータの将来性を評価する方法
「DX需要が伸びるから将来性が高い」だけでなく、受注残、案件原価、人材配置、海外利益率、データセンターの投下資本まで確認します。
公共、金融、法人、海外IT、データセンター。
営業収益、営業利益、利益率、受注。
行政DX、金融基幹、クラウド、生成AI。
不採算案件、人材、海外統合、電力、為替。
共通アセット、継続収益、ROIC、キャッシュ。
NTTデータの全社業績を確認
| 年度 | 営業収益 | 営業利益 | 営業利益率 | 読み取れること |
|---|---|---|---|---|
| 2023年度 | 4兆3,674億円 | 3,096億円 | 7.1% | 国内外のDX需要と為替で増収 |
| 2024年度 | 4兆6,387億円 | 3,239億円 | 7.0% | 増収増益だが利益率は横ばい |
| 2025年度 | 5兆46億円 | 4,882億円 | 9.8% | 海外・データセンターを含め利益拡大 |
3年間で営業収益は6,372億円、営業利益は1,786億円増えました。2025年度は利益率も大きく上昇しましたが、2026年度予想は営業収益5兆1,900億円、営業利益4,700億円で減益を見込んでいます。2025年度の利益をそのまま恒常的な水準とは見なしません。
国内・海外事業の将来性を比較
グループ再編により詳細区分が変わるため、3年間の全体推移と、同じ定義で比較できる直近2年間の日本セグメントを分けて掲載します。区分変更前後の数値を無理に接続しません。
| 事業 | 指標 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 3年間の変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| グローバル・ソリューション事業 | 営業収益 | 4兆3,674億円 | 4兆6,387億円 | 5兆46億円 | 増収増益、直近は利益率上昇 |
| 営業利益 | 3,096億円 | 3,239億円 | 4,882億円 |
| 日本の分野 | 2024年度売上高 | 2025年度売上高 | 2024年度営業利益 | 2025年度営業利益 | 変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 公共・社会基盤 | 8,083億円 | 8,427億円 | 1,083億円 | 1,066億円 | 増収・減益 |
| 金融 | 7,023億円 | 7,618億円 | 795億円 | 912億円 | 増収増益 |
| 法人 | 5,656億円 | 5,960億円 | 613億円 | 667億円 | 増収増益 |
日本の分野別数値は直近2年間で同じ定義を確認できる範囲を掲載しています。全社調整やセグメント間取引があるため、単純合計はグローバル・ソリューション事業の数値と一致しません。
公共・社会基盤:安定需要と大型案件採算を両面で見る
行政、社会インフラなど長期顧客を持つことは強みです。2025年度は増収でしたが営業利益は小幅減少しました。受注額だけでなく、制度変更、追加開発、納期、人員配置によって不採算案件が発生しないかを確認します。
金融:基幹システムと決済需要を継続収益へ
2025年度は売上7,618億円、営業利益912億円で増収増益でした。銀行・決済の基幹需要は安定要因ですが、大規模更改に伴う工程管理とサイバーセキュリティが重要です。個別案件の終了後も共通サービスで収益を続けられるかを見ます。
法人:業界知識と共通アセットの再利用性が重要
法人分野も増収増益でした。製造、流通、通信などの業界知識を共通サービスへ変えれば、案件ごとの開発工数を抑えられます。売上が人員数に比例する状態から、ソフトウェアやクラウドの継続収益へ移れるかが条件です。
海外IT:統合後の規模を利益率へ変えられるか
海外ではフルスタックソリューション、大型案件、クラウド、セキュリティが成長候補です。一方、買収・統合費用、地域別採算、人材、為替で利益が変わります。売上規模ではなく海外営業利益率を確認します。
データセンター:需要成長と資本負担を分ける
生成AIとクラウドはデータセンター需要を押し上げますが、建設費、電力調達、金利、稼働率が収益を左右します。資産取引による利益と、運営・サービスによる継続利益を分け、ROICとキャッシュフローを見ます。
中期経営戦略と成長条件
NTTデータは、ITとConnectivity、コンサルティング、Edge to Cloud、共通アセット、先進技術活用を成長軸としています。生成AIの導入件数ではなく、次の条件が収益性へ反映されるかを確認します。
| 成長条件 | 確認する指標 | 達成できない場合のリスク |
|---|---|---|
| 国内大型案件の採算管理 | 受注残、原価率、不採算案件 | 追加開発と人員不足で利益悪化 |
| 海外統合を利益へ | 海外利益率、統合費用、継続受注 | 売上規模だけが増える |
| AI・クラウドを共通化 | 経常収益、共通アセット売上、生産性 | 個別受託の工数増が続く |
| データセンター投資を回収 | 稼働率、電力費、ROIC、営業CF | 建設費・金利・電力負担が増える |
| 高度人材を確保・育成 | 離職率、1人当たり売上、採用・育成 | 受注しても人材不足で遂行できない |
私が考えるNTTデータの中期・長期の将来性
中期:2025年度の利益率上昇を本業で再現できるか
国内の金融・法人は増収増益で、海外・データセンターも成長しています。一方、2026年度は営業増収・減益予想です。中期では、一時的な資産取引や為替を除き、大型案件の採算と海外利益率が改善し続けるかを見ます。
長期:人月型からアセット・継続収益型へ移れるか
人材と顧客基盤は強みですが、個別受託だけでは売上成長に人員増が必要です。業界共通機能、AI、クラウド、セキュリティを再利用可能なアセットにし、顧客ごとの追加工数を抑えられるかが長期の利益率を左右します。
短期は2025年度利益の一時要因、中期は国内案件採算と海外利益率、長期はアセット型・継続収益があるため安定といえます。また働いている人ならわかりますが、国・公共向けの案件は安定した収入源になります。公共向けの案件が減少するということがない限り、時代背景も踏まえると将来性は安泰といえるでしょう。
将来性を踏まえて就活・転職におすすめしたい事業
3年間の業績と国内・海外の成長条件を踏まえ、就活生が注目したい領域を考えます。現在の利益が伸びている領域、安定した顧客基盤を持つ領域、今後の共通サービス化を担う技術領域を分けて評価します。
| 候補 | 直近業績・位置づけ | 身につきやすい経験 | 就活時に確認すること |
|---|---|---|---|
| 金融 | 売上7,023億円→7,618億円 営業利益795億円→912億円 | 基幹システム、決済、業務理解、PM | 顧客業界、開発工程、共通基盤の有無 |
| 公共・社会基盤 | 売上8,083億円→8,427億円 営業利益1,083億円→1,066億円 | 大規模・長期案件、制度対応、社会基盤 | 増収減益の理由、案件採算、担当範囲 |
| AI・クラウド・セキュリティ | 独立した利益セグメントではない | 共通アセット、クラウド移行、データ活用 | 実証か本番か、再利用性、収益モデル |
第一候補の理由:金融分野は直近で売上・営業利益がともに増えています。銀行基幹、決済、保険などは停止が許されにくく、業務知識、設計、セキュリティ、プロジェクト管理を組み合わせる経験を得やすい領域です。情報系はアーキテクチャ、データ、セキュリティ、数理系はリスク・決済分析、他専攻でも業務設計やPMへつなげられます。
ただし確認したい点:大規模案件だから成長できるとは限りません。既存システムの保守だけか、クラウド移行や共通基盤の設計まで担当できるか、若手が担う工程はどこかを確認します。
第二候補の理由:AI・クラウド・セキュリティは、国内外の複数業界へ横展開できれば、人員数に比例しない共通サービスへつながる可能性があります。NTTデータの長期的な利益率を左右する領域として注目します。
ただし確認したい点:AI・クラウド・セキュリティは会社が独立した営業利益を開示する事業区分ではありません。「先端技術に関われる」という言葉だけでなく、実証実験か本番導入か、個別受託か再利用できるサービスか、顧客が継続的に料金を払う仕組みかを確認してください。
公共・社会基盤の見方:長期顧客と社会的意義は魅力ですが、直近は増収減益でした。そのため第一候補と一括りにせず、案件採算、追加開発、人員配置を確認したうえで安定候補として評価します。
「DXやAIに携わりたい」だけでは多くのIT企業に当てはまります。対象業界の課題、NTTデータの顧客基盤や共通アセット、自分の専門性、担当したい工程までつなげると志望理由になります。
自己分析・ES添削に使える就活サービスを比較する転職者がNTTデータを検討するときに確認したいこと
NTTデータのような知名度の高い企業は、募集職種によって応募が集まりやすいと考えられます。具体的な倍率は公表されていません。応募の集中を避ける求人や事業戦略に関わる求人が、転職サービスを通じて非公開で募集される場合もあります。
- 欠員補充か、案件・サービス拡大による増員か
- 公共、金融、法人、海外、データセンターのどこを担当するか
- コンサル、営業、設計、開発、PM、運用のどの工程か
- 自社勤務、顧客先、リモート、転勤、海外業務の条件
- 3年後に得られる業界知識・技術・マネジメント経験
面接では将来性分析をどう使う?
DX市場の話だけでなく、注目事業、成長条件、自分の専門性を順番につなげます。
例:金融基幹とクラウド。
大型案件の採算と共通化が必要。
研究・経験を具体的な役割へ接続する。
「NTTデータは金融分野で増収増益ですが、個別開発を共通アセットへ変え、採算を維持することが成長条件だと理解しています。私は○○の経験を生かし、△△業務の標準化とクラウド移行に貢献したいと考えています。」
注目分野、自分の専門性、希望工程、入社後の貢献までつなげてください。
理系新卒向け就活サービス比較を見るよくある質問
NTTデータの将来性は高いですか?
顧客基盤、国内DX、海外IT、データセンター需要は評価できます。ただし大型案件、海外統合、投資負担、一時利益を継続確認する必要があります。
2025年度の利益率上昇は続きますか?
2026年度は増収・減益予想のため、2025年度水準をそのまま前提にはできません。一時要因を除いた国内・海外の利益率を確認します。
NTT全体の業績を掲載していますか?
いいえ。本記事の中心数値は、NTTデータグループが中心的役割を担うグローバル・ソリューション事業です。NTT連結全体とは区別しています。
まとめ
NTTデータの将来性は、DX需要の大きさだけでなく、国内案件採算、海外利益率、データセンター投資、アセット型収益への転換で判断します。
- 営業収益は3年間で4兆3,674億円から5兆46億円へ拡大
- 営業利益は3,096億円から4,882億円へ増えたが、2026年度は減益予想
- 日本では金融・法人が直近増収増益、公共は増収減益
- 中期は利益の再現性、長期はアセット・継続収益化が焦点
- 就活生への第一候補は金融・公共の大規模システム
参考:NTT「グローバル・ソリューション事業」「決算短信等」、NTTデータグループ「IR情報」。評価とおすすめ事業は筆者の考察であり、将来の業績、採用、配属を保証するものではありません。

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