はじめに
こんにちわ!レイです!
今回分析するのは就活生・転職志望者に向けて富士電機の将来性になります。
富士電機の将来性の評価するうえで最も重要なポイントは以下の3つになります。
- 数年間の各事業内容と業績
- 今後の経営戦略
- 現状の社会トレンド
富士電機の将来性について上記の3つのポイントをふまえて評価いたします。
詳細な将来性の評価方法が気になる方にはこちら!
今回は「富士電機株式会社 2023年3月期決算」をもとに企業分析を行いたいと思います。
それではさっそくの各事業状況・経営戦略から見ていきましょう。
富士電機について詳しくなろう!
富士電機を支える3つの事業
電力の安定供給を支えるエネルギー事業
まず一つ目は電力の安定供給に貢献するパワエレエネルギー事業になります。
発電所から送られてきた電流はそのまま使用することができず、変電所へと電流を送り人々が使える電気に変える必要があります。
このような変電所で使われる変電・整流設備、蓄電システムなどの製造、提供をパワエレエネルギー事業は行っています。
他にも電流に影響を与える因子の研究など富士電機の根本技術を支える事業内容となっています。
省エネ化に貢献するインダストリー事業
パワエレインダストリー事業は主に工場の省エネ化、生産性向上をサポートする製品を提供しています。
規模にもよりますが工場の消費電力は1か月で数百万~数千万円にも及びます。
そのため少しでも電力消費量を抑えるために富士電機の技術は重宝されているというわけです。
他にも監視・制御システムのような機械の不具合や状況を可視化する設備も製造しています。
注目の半導体を製造する事業
半導体事業は産業向けのパワー半導体を提供する事業です。
パワー半導体を用いることで電力を制御し供給量を調節することで、私たちが日常的に使用する家電製品は稼働しているのです。
富士電機では様々な分野にパワー半導体を提供しており、主にネット回線に必要とされるデータセンターに用いられています。
以上が富士電機を代表する3事業となっています。
主に産業インフラを支えるような事業展開をしていることがお判りいただけたと思います。
富士電機の業績
2022年度の業績は大幅に上昇
では2019年度から2022年度までの富士電機の業績について見ていきましょう。
2019年度からコロナウイルスによる経済活動の停滞を受け、業績は低迷傾向となっていました。
しかし2022年度では2019年度の売上高を超え、ついに1兆円を超える売上高となりました。
業績回復の要因とは?
2022年度の業績が良かったのはなぜでしょうか?
業績に最も大きな影響を与えたのはパワー半導体需要の増加になります。
富士電機は電気自動車向けにパワー半導体を提供していますが、以前から生産能力の増強に取り組んでいました。
このおかげで生産能力が向上し予定数量よりも多くの半導体を製造、販売でき業績に好影響をもたらしたようです。
富士電機の経営戦略
半導体とパワエレシステムが主軸
初めに富士電機が発表している最新の経営戦略(2019年発表)について見ていきましょう。(参照:富士電機)
それでは上図の内容の重要部分について解説していきましょう。
2分野の成長を見込み集中投資
一つ目のポイントしてパワエレシステムとパワー半導体への集中投資が挙げられます。
かなりインパクトのある投資戦略なのでさっそく見てみましょう。(参照:富士電機)
上図からわかるように2019年から2023年にかけて全体の80%以上の投資金を2事業に充てるようです。
ここまで極端だと富士電機の将来性はこの2事業にかかっていると言ってもいいほどの投資戦略ですよね。
東南アジア諸国への進出を画策
またパワエレシステムと半導体の海外進出についても考えているようです。
特に成長の伸びしろがある東南アジア諸国(中国やインドなど)への進出を画策しています。
パワエレシステムはインフラ整備が進むアジア諸国全般、パワー半導体は経済成長が著しい中国を予定しています。
- パワエレシステム … アジア諸国
- パワー半導体 … 中国・欧州
以上から富士電機の経営戦略はパワエレシステムと半導体の成長を重点的に行う内容であることがわかりました。
それでは以上の情報を参考に富士電機の将来性について考えていきましょう。
富士電機の将来性について
結論から言うと「懸念点はあるものの富士電機の将来性はある」と考えています。
ではなぜ富士電機の将来性があるのか説明していきましょう。
投資戦略が強みを活かし将来性を支える
富士電機の強みとは
まず富士電機の強みについて考えていきましょう。
そもそもパワエレ事業は電流制御に関わる技術をもとに展開されています。
したがって製造した機械が電流を流すと正常に動くのか、省エネできているのかを調べることができるわけです。
それに対しパワー半導体はEV車や産業機械など大量の電力を必要とする機械に用いられます。
これらは半導体の電力効率の最大化や省エネ化が求められる場所ですよね!
つまりパワエレ事業の技術をもとに半導体の性能を最良化できる強みが富士電機にはあるわけです。
自社内でそれができるのは大きな強みであると考えられます。
投資戦略で強みを最大化できる
富士電機の投資戦略はパワエレシステムと半導体のどちらにも設備、研究投資を行うとしています。
この戦略から根本的な技術である電流制御への投資を行いつつ、新たなパワー半導体の開発や生産能力向上もしっかりと視野に入れていると考えられます。
一見偏ったバランスが悪い投資戦略のように見えますが、富士電機の2事業の技術を増強するバランスの取れた戦略であることがわかります。
この投資戦略により強みはさらに強化できるといえるでしょう。
すでに投資戦略の効果が表れている
今回参考にしている最新の経営戦略は2019年度~2023年度を対象とした期間のため、現在進行形で半導体の生産能力は向上しているといえます。
そのためすでに投資戦略の効果は半導体事業の業績に表れています。
下図を見てみましょう。
上図を見てみるとすでに2019年度から2022年度にかけて業績が右肩上がりに上昇しています。
つまり富士電機の投資戦略が的を得た良い戦略であることが好調な業績で裏付けられているといえますね。
以上のことから富士電機の強みを活かした投資戦略は結果をすでに出しており、今後の将来性に期待できるといえるでしょう。
しかし富士電機の将来性は絶対大丈夫というわけではなく、心配な点もあります。
次は懸念点について簡単に説明していきましょう。
競争激化の半導体市場で生き残れるのか
国内のパワー半導体売り上げは第2位
ここで2021年度のパワー半導体の売り上げランキングを見ていきましょう。(参照:マイナビニュース)
上図は日本企業の2021年度のパワー半導体の売上高ランキングです。
今のところ、富士電機は国内第二位の売り上げを出しており好調な様子がうかがえます。
しかし今後はどうなっていくのでしょうか?
多くの企業が参入してくる半導体市場
新型コロナウイルス蔓延による在宅ワークやオンラインゲームの流行により、世界的にデジタル化が進んでいます。
それに伴い電子機械を動かす核となる半導体の需要は驚くべきスピードで増加しています。
そして今後も豊かで便利な生活を追い求めデジタル化が進むことで、半導体需要はさらに拡大していくことが予想されています。
しかし需要の拡大とともに、多くの企業が参入することで今後の市場獲得へ向けて競争がさらに熾烈化することは間違いありません。
今後の市場競争で勝ち残るためには
懸念点の一つとしては今後の半導体市場で富士電機がどれだけ自社の強みを活かし顧客を獲得していけるかです。
富士電機が半導体市場で勝ち抜いていくためには技術力の向上はもちろんのこと、顧客の獲得が肝になってきます。
特にEV車半導体の場合は日本市場よりも、アジア諸国の顧客獲得が大切だと考えています。
人口が多く経済発展の目覚ましいアジアにおいて潜在的な顧客は多いですからね。
そのアジアで顧客を獲得する際に必要となりうるのが「安価で高機能」な製品になります。
物価や賃金が低いアジア諸国の企業と戦うには必ず意識しなければならないことです。
富士電機の強みを活かし高い技術力を保持しながら勝ち抜いていってほしいです。
最後に
今回は富士電機についての企業分析を行いました。
半導体の需要は過去最高といっても過言ではないほど高まっていますが、同時に多くの企業が参入してきているホットな分野になっています。
そこで勝ち残っていくためには、富士電機の強みを活かして他企業に負けない技術力を展開することが重要だと考えています。
ところで今回紹介した経営戦略はやや古いものとなっています。
そのため最新の経営戦略が発表され次第、また新たに記事を書いていこうと思います。
それではまた次回に!
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