結論
- 機能性化学品事業が大阪ソーダの将来性に大きく影響する
- 合成ゴムの顧客拡大・海外市場の開拓により大阪ソーダの将来性への期待大
- 新規開発の製品が今後のさらなる成長への鍵になる可能性
将来性の評価方法
今回分析するのは株式会社大阪ソーダの将来性になります。
大阪ソーダの将来性の評価するうえで最も重要なポイントは以下の3つになります。
- 数年間の各事業内容と業績
- 今後の経営戦略
- 現状の社会トレンド
大阪ソーダの将来性について上記の3つのポイントをふまえて評価いたします。
詳細な将来性の評価方法が気になる方にはこちら!
【就活生必見】企業の将来性を考える際に重要な5つのポイントとその使い方!
今回は2021年11月5日に発表された「株式会社大阪ソーダ 第2四半期決算」を基に企業分析を行いたいと思います。
それではさっそく各事業の業績から考察していきましょう。
各事業状況・経営戦略
株式会社大阪ソーダは「基礎化学品事業」「機能性化学品事業」の2つから構成されています。
それぞれ大阪ソーダの将来性に関わるどうか、事業内容と業績、社会情勢をふまえて考察し、経営戦略を見てきましょう。
基礎化学品事業
基礎化学品事業はかせいソーダ関連製品を提供する事業です。
そもそもかせいソーダは漂白剤、滅菌材、洗剤や医薬品など幅広い分野に使用されています。
この事業は主に紙やパルプ、繊維、化学製品向けにかせいソーダを販売しているようです。
また基礎化学品事業は機能性化学品事業の原料である塩素も製造しています。
かせいソーダ事業で有名な東ソーについての将来性分析も行っています。
是非チェックしてみてください!
ではこの事業の業績から大阪ソーダの将来性に影響があるかどうか見ていきましょう。
上図の通り2020年度と比べるとやや回復していますが、全体的に業績は悪化しているようです。
業績悪化はコロナウイルスによって需要が著しく低下した影響と考えられます。
ところで今後のかせいソーダ市場はどのような展開になると思いますか?
かせいソーダは汎用性の高さから競合他社がたくさんあります。
例えば東ソー(株)、(株)クレハ、東亜合成など挙げればきりがありません。
つまりかせいソーダ業界は価格・顧客獲得の競争がし烈化しているということです。
そのような事業が大阪ソーダの将来性を良好なものにすることができるでしょうか?
私はかなり厳しいと考えています。
よって基礎化学品事業は業績の低迷、競争のし烈化により大阪ソーダの将来性に与える影響は小さいと思います。
ちなみにAGC株式会社もかせいソーダを提供する事業を展開しています。
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機能化学品事業
機能化学品事業は合成ゴム・ダップ樹脂など付加価値の高い製品を提供する事業です。
耐熱性の高い合成ゴムは自動車部品、高い耐熱性と電気絶縁性を持つダップ樹脂はUVインキ・信号機などの部品として用いられています。
特にダップ樹脂は業界No.1であり、「グローバルニッチトップ企業100」として経済産業省に認められるほど特徴的な製品になります。
ではこの事業の業績から大阪ソーダの将来性に影響があるかどうか見ていきましょう。
2021年度は前年度と比べ売上高は17.0%増、営業利益は82%増と非常に好調な業績でした。
また4年間をみても売上高・営業利益率ともに上昇傾向で好ましい状況です。
ちなみに今回営業利益が爆増したのは製品原価が減少したためです。
効率的な生産方法による低コスト・大量生産に成功しているように考えられます。
営業利益率が高いということは競合他社が少なく、企業の儲ける力が強いことを表します。
毎年営業利益率が10%以上であるため、確固たるビジネスモデルが築けているようです。
以上のことから、機能性化学品事業は大阪ソーダの将来性を左右するといっても過言ではありません。
経営戦略
ではさっそく大阪ソーダの経営戦略について見ていきましょう。
上図の通り、各事業における具体的な経営計画が記載されています。
これではわかりにくいので、いくつかのポイントを抜き出しました。
- 基礎化学品事業は生産コストダウンを目標
- 合成ゴムは顧客拡大と新規製品の開発
- ダップ樹脂は中国やアジア諸国でのUVインキ市場拡大
現在は機能性化学品事業へ投資を行い、顧客拡大を狙っているようです。
またアジア諸国などの発展途上国の市場も気にしていることは押さえておきましょう。
では以上のことをふまえて、大阪ソーダの将来性を評価していきましょう。
大阪ソーダの将来性
各事業の業績・現在の社会情勢・経営戦略をもとに「大阪ソーダの将来性」を解説いたします。
コストカットにより機能性化学品の収益増加
まず大阪ソーダは基礎化学品事業の生産コストダウンを掲げています。
投資ではなく、コストカットという守りの選択になります。
前述のとおり、かせいソーダ市場の競争は激しく大阪ソーダの将来性を担うには荷が重すぎるためです。
そのため原料のコストカットを行い、なるべく機能性化学品事業へ開発資金を回すといったところでしょう。
ただ実はこのコストカットは大阪ソーダの将来に大きな影響を及ぼします。
一体どういうことなのか?
ここで基礎化学品事業と機能性化学品事業の関係性を見ていきましょう。
この図からわかる通り、原塩と水を電気分解するとかせいソーダと塩素ができます。
かせいソーダはそのまま基礎化学品事業で用いられます。
しかし上図をよく見ると余った塩素とプロピレンを反応させることで機能化学品事業の原料であるアクリルクロライドなどが生成されています。
このように異なる事業ですが、実はお互いに支え合って構成されています。
したがって生産コストカットは原料費の減少により機能性化学品事業の収益性を向上させることを示しています。
大阪ソーダの将来性に全く無関係かと思われる基礎化学品事業も陰で支えているわけです。
発展途上国の需要を獲得して成長を狙う!
では「合成ゴムの顧客拡大と新規製品の開発」はどうでしょうか?
合成ゴムは自動車やOA(パソコン・コピー機など)向けに提供されています。
特に2021年度上期は自動車用半導体が過度に不足し、需要が大幅に減少していました。
2021年度後期ではやや回復したものの、いまだに半導体不足は解消していません。
したがって今後、半導体供給が追い付けば合成ゴムの需要が増加することは間違いありません。
また今後EV車の普及により、現在よりも大きな市場が開かれることが予想されています。
よって大阪ソーダの将来性を担う大事な製品になりそうです。
また「中国・アジア諸国のUVインキ市場の拡大」にも大きな期待が寄せられます。
この製品は競合他社が少ないだけでなく、東南アジアを中心とする発展途上国に製品を販売している強みがあります。
そのため発展途上国の市場がより拡大することで大阪ソーダは多くの顧客を獲得できるというわけです。
以上の評価をまとめると次のようになります。
- 生産コストの減少は企業全体の収益率を向上を助長
- 合成ゴムは今後の需要回復により業績の向上を促進
- 発展途上国の市場確保への期待大
さて以上のことから後の業績向上が期待できることから大阪ソーダの将来性は非常に明るいと考えられます。
新規製品の開発が大阪ソーダを成長させるカギ!?
最後に大阪ソーダの将来性をさらに良好にする可能性がある「私の経営戦略」について紹介します。
私が掲げる経営戦略は「新規製品の開発への投資」です。
具体的な製品ではなく、なぜそれなのか?を説明いたします。
今回紹介している大阪ソーダは競合他社が少ないニッチな事業を展開しています。
昔は大阪ソーダはかせいソーダ関連製品が主軸だった企業でした。
しかし現在は時代の流れと需要の移り変わり、競合他社の台頭により機能性化学品に注目が集まっています。
その中でも高付加価値を持つ合成ゴム・樹脂は大阪ソーダの将来性を左右する重要な製品へと変貌を遂げました。
そのような背景をもとに、私なら付加価値の高い製品を多く取り揃え提供するでしょう。
また大阪ソーダがさらなる成長をするためには新規製品の開発が不可欠です。
現状の商品では網羅している製品が少なく、大きな成長はやや期待できません。
特に現在は安価で付加価値を持つ製品の開発は技術の進歩により移り変わりが激しいです。
いつか必ず大阪ソーダの合成ゴム・樹脂の代替品が出てくることになります。
競合他社が少ないという大阪ソーダの強みも薄れてしまいます。
開発する製品自体は合成ゴム・樹脂に限らず、どんなものでも構いません。
どの製品が一番成長する可能性が高いかを見極め把握しておくことで今後の展開に遅れることはないでしょう。
新規製品の開発はオーソドックスな戦略のように思うのは当然でしょう。
しかし大阪ソーダの将来性をより確かなものにするためには必要なことだと私は考えています。
最後に
さて今回は大阪ソーダの将来性について紹介しました。
大阪ソーダはある程度の将来性がすでに確約されていると思います。
そのため今回はより大阪ソーダがより大きく成長することを念頭に経営戦略を考えました。
大阪ソーダの事業内容が専門的分野であることもふまえると具体的な製品の考案は困難でした。
抽象的にはなりますが、私なりに考え抜いた戦略であることは間違いありません。
以上で大阪ソーダの将来性についての記事は終わりになります。
皆さんが分析してほしい企業があればぜひお問い合わせページからご要望ください。
それではまた次回に!
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